神様なんかくそくらえの映画専門家レビュー一覧
神様なんかくそくらえ
ニューヨークの路上に暮らす無軌道な若者の破滅的な恋を、リアルに写し取ったドラマ。主演のアリエル・ホームズの実体験が反映されており、薬物におぼれ恋人に依存する主人公のひりつくような痛みが映し出される。また、彼女を翻弄する恋人を「アンチヴァイラル」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが演じるほか、ラッパーのネクロらが出演。監督はサンダンス映画祭に参加経験のあるジョシュアとベニー・サフディ兄弟。劇場公開に先駆け第27回東京国際映画祭コンペティション部門にて上映され、監督賞と最高賞である東京グランプリを獲得した。第71回ヴェネチア国際映画祭C.I.C.A.E.賞受賞。
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映画・漫画評論家
小野耕世
駆けだしているようなせわしない音楽が全篇を流れるこの映画は、泣いて自殺しようとする女とそれを止めようとしない男の街頭の場面から始まる。これは女性を演じるアリエル・ホームズの実体験『ニューヨークの狂った恋』を描いた内容だとは驚くが、この新人女優を見ているだけで最後まで併走させられてしまう魅力の持ち主である。ドラッグにひたって疾走する彼女をとりまく若い男女の青春群像の結末は、まるで嵐の去った後の晴れた空のようなさわやかさを感じてしまうほどだ。
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映画ライター
中西愛子
ニューヨークの路上で暮らすガール&ボーイの破滅的な生活。う~ん、ピカレスクものは、その破天荒さや痛みの中に、ロマンとは言わないまでも、何かこちらの心を打つものがないとつまらない。映画として魅力がないのだ。ヒロインを演じた女優の過去の実体験が基になっているというが、後日、彼女は映画で日の目を見るほど這い上がったのだから、“よくなりたい”という普通の思いを軸にした再生ドラマにしてもよかったのでは? 社会派的な視点もないし、罵りだけぶつけられても不快。
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映画批評
萩野亮
評者が一〇代のころ、つまり九〇年代後半にはこんな映画がごろごろあった。この作品はたとえば「KIDS」(95)の焼き直しのようなもので、当時は鮮烈だったテーマも手法も、いまではまるでインパクトをもたない。またタイトルも劇判にあてた既成曲のセレクトもたいへん恥ずかしく、残念ながらセンスがない。監督のサフディ兄弟が評者と同世代であるのは案の定というほかないが、とりあえずこれだけは云っておこう。いいかい兄弟、もうハーモニー・コリンやドグマ95は忘れるんだ!
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