ネコのお葬式の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
たぶんアイドル映画的なものを意図していて、現在と過去とを交互に語っていくやり方も特にひねりはなく、恋愛物にも出演者たちにも興味のない観客がこれをどこまで面白がることができるかは疑問なのだけど、喜怒哀楽を強烈に押し出してくるのが韓国映画だというイメージを真っ向から裏切るかのような淡白な語り口(重要な事実の露呈がごくさりげなくなされたりする)と、現代の韓国のさまざまな地域の風景を俳優の背後につねに取りこんでいる画面には、ちょっと捨てがたい魅力がある。
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ライター
平田裕介
回想場面が多いが、規模は小さくとも男女が旅をして、会話を重ね、想いを?み締めるノリは、なんだかR・リンクレイターの“ビフォア3部作”に近い感じ。切ないが前向きな展開、ベタだが共感せざるを得ない“恋愛あるある”描写が程よくマッチした、良き小品。1年ぶりに再会した元カレが自分のコーヒーの好みを忘れていて、ムッとするヒロイン。しかし、“ミルクの代わりに豆乳で割ったダブルラテ”なんて面倒なのを覚えていられる男は少ない。だから、別れたともいえるが。
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TVプロデューサー
山口剛
シンガーソングライター志望の青年とアニメ作家志望の女性、二人の出会いと別れ、二人の愛した一匹の猫。青春映画にはゴマンとあったような設定だ。「等身大」という言葉を昨今よく聞くがまさにそんなオハナシだ。ファッショナブルで表層的、人気のウェブ・コミックが原作と聞けば納得。それでも、この手のドラマがあまり好きでない私を最後まで退屈させないで見せてくれたのは、イ・ジョンフンのナイーブで細心な脚本、演出だろう。都会と対照的なさびれた島のロケも印象的。
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