ヒーローマニア 生活の映画専門家レビュー一覧
ヒーローマニア 生活
福満しげゆきの漫画『生活【完全版】』を、「花宵道中」の豊島圭介監督がアクションコメディとして映画化。リストラされたフリーターら一癖ある面々が結成した小さな社会悪に鉄槌を下す自警団が人気を集め、思わぬ方向に転がっていく。うだつの上がらないフリーターに「GONINサーガ」の東出昌大、下着泥棒を繰り返すニートに「映画ST 赤と白の捜査ファイル」の窪田正孝、情報収集力に長けた女子高生に「渇き。」の小松菜奈、夜になると若者たちに殴りかかる定年間際のサラリーマンに「異人たちとの夏」の片岡鶴太郎を配し、自警団の顛末を描く。
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映画評論家
上島春彦
弱者がヒーローになり、強者になって悪者になる。そりゃそうだろう、と客観視するしかない物語。原作のキャラと映画の配役のイメージにギャップがあり、どうも乗れない。こんなイケメンと美少女俳優のための企画じゃないな。自警団がゴロツキと化す展開も好きになれない。正確には好き嫌いじゃなくそんなもんだよ、としか言えないのだ。もっとみみっちい暴力でいいし、その分、妄想ばかりが肥大化するというコンセプトじゃないと私みたいな単なる一般人は納得させられないだろう。
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映画評論家
北川れい子
見て見ぬふり。触らぬ神に祟りなし。この映画に限って、そういう態度で接したいと思う。世間で迷惑行為をする連中を、そのときは放っといて、あとでこっそり制裁を加えている自称・自警団。実は自警団の面々も、たたけば埃の出る体なのだが、マジメなような、パロディーのような演出の足元がグラグラしているのも気になり、途中で逃げ出したくなった。街でカラス(若者たち)が好き勝手をするのは、荒鷲(叱る大人)がいなくなったからだというが、自警団の面々こそ勘違いのカラス。
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映画評論家
モルモット吉田
「キック・アス」より「スーパー!」に近い小さな町の日常系お手製ヒーローものだが、主人公の生活も日常も見えてこない。荒廃した町も主人公が働くコンビニのレジから見える程度でしか提示されないので、この世界には終始なじめず。日本で作ると「ザ・ハングマン」的になってしまうが、ヒーローを会社化する設定は面白いものの、なぜ主人公だけがそこから外れてしまい、周囲も急に冷たくなるのか。怪演に不慣れな顔ぶれなので鶴太郎が金槌を振り回すところだけハツラツとしている。
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