COP CAR コップ・カーの映画専門家レビュー一覧
COP CAR コップ・カー
ケヴィン・ベーコンが主演・製作総指揮を兼任した犯罪サスペンス。乗り捨てられたパトカーを勝手に走らせた2人の少年が、悪徳保安官に追われることとなる。監督は「スパイダーマン」新シリーズでもメガホンを取る新鋭ジョン・ワッツ。共演は『Marvel ジェシカ・ジョーンズ』のジェームズ・フリードソン=ジャクソン、「アメリカン・ハッスル」のシェー・ウィガム、ドラマ『エクスタント』のカムリン・マンハイム。
-
映画・漫画評論家
小野耕世
コロラドの荒れ地を十歳の男の子ふたりがワイセツ語をしゃべるゲームにふけりながら歩いていくと鉄条網があり、さらに進むとパトカーが乗りすてられていて――から始まるこの映画は、最後まで登場人物が極端に少ないのだが、車の運転も銃を手にするのも初めてという少年ふたりを軸に、パトカーの声だけの無線連絡を一種のトリックとして、最後まで緊張を持続させていくのは見事。男女のほか二匹の犬(雄と雌)も顔を出すが、主演のケヴィン・ベーコンとふたりの少年たちが出色。
-
映画ライター
中西愛子
野原を歩くふたりの少年。素朴な風景をとらえる、ゆったりとした長回しが、どこか懐かしい映画体験の感覚を呼び起こす。監督は、「スパイダーマン」の新シリーズに抜擢された若手ジョン・ワッツ。視点も雰囲気も70年代ぽさが漂い、ひと昔前の監督の卵の、よくできた習作といった感じ。少年を演じる子役たちが、これまた懐かしい風情を湛え、しかも難しい内面を見事に表現しており注目。悪徳警官役ケヴィン・ベーコンの、年を重ねてますます生々しいへんてこな男臭さに気概を感じる。
-
映画批評
萩野亮
サンダンスっぽい映画だなと思って見ていたらやっぱりそうだった。脚本の発想はおもしろい。よけいな説明を排し、人物のバックボーンに関心を寄せないいさぎよさも好ましい。ただ、短篇として撮るべき習作をむりくり伸ばした感がいなめず、中盤が停滞している。少年の表情の着実な変化にこのフィルムの実質があり、ふたりの子役がケヴィン・ベーコンの老獪さに負けずがんばっている。それにしてもアメリカの国土は広い。真の主役は悪の放逸をゆるす、かの国の広大さかもしれない。
1 -
3件表示/全3件