ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYSの映画専門家レビュー一覧

ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS

リチャード・ウーとすぎむらしんいちによる原作コミックを連続ドラマに続き映画化。不法滞在外国人マリアの誘拐事件が発生。密入国異邦人たちを守る裏都庁の警察組織・ディアスポリスの久保塚と相棒・鈴木は監禁先を見つけるが、マリアはすでに殺されていた。出演は、「イニシエーション・ラブ」の松田翔太、「婚前特急」の浜野謙太。監督は、「私の男」の熊切和嘉。
  • 評論家

    上野昻志

    密入国者が集う「裏都庁」だかなんだか知らないが、その設定が、画面としてはまったく生きてない。原作ではそれなりに意味をもっていたのかもしれない宗教に関わる「地下教会」も同様。取り柄は、須賀健太演じる周とノゾム扮する林を、松田翔太のポリスが追っかけて行くところぐらいか。とくに、彼らを殺さずに逮捕しようと頑張る翔太。ところで、真木蔵人演じるヤクザのカシラが、かなり重要な役どころなのに、試写会用パンフには名前も顔写真も出ていないのは、どういう訳か?

  • 映画評論家

    上島春彦

    惜しい。裏警察という設定も配役も申しぶんないのだが、凶悪犯を生け捕りにして東京に連れ戻したい、という行動基準に説得力がないために、何か無駄な努力をしている感じになった。また凶行も手当たり次第の殺害になってしまい、裏じゃなく表の警察が出てくる性質のものだ。コンセプトがブレてないかな。警察コンビが正義を貫く設定で、これはとても良い。凶悪中国人は当局の宗教弾圧から人生が狂ったヤツで、須賀が相変わらず強烈キャラ。ただ動機と犯罪がバラバラでぴんと来ない。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    TVドラマ版は眺めていた程度だが映画だからとさほどスケールアップしないのはドラマと連続撮影の既定路線ゆえか。とはいえ翔太&東映ならB級アクションが似合う。優作と桃井かおりを超える息の合い方を見せる翔太と安藤サクラの共演シーンや、今やどんな役で登場するか毎回楽しみでしようがない須賀健太の怪演を眺める分には愉しい。これだけお膳立てが揃うからには東映セントラル的活劇になっておかしくないはずが過剰さと逸脱の不足で弾けきらない。この内容で2時間弱は長い。

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