土竜の唄 香港狂騒曲の映画専門家レビュー一覧
土竜の唄 香港狂騒曲
高橋のぼるの人気コミックを、三池崇史×宮藤官九郎のコンビで映画化したコメディ「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」の続編。ヤクザの若頭に就任した潜入捜査官・菊川玲二が、エリート警察官やチャイニーズマフィアを巻き込み、再び騒動を巻き起こす。主演は前作に引き続き生田斗真。新キャストとして「殿、利息でござる!」の瑛太、「起終点駅 ターミナル」の本田翼、「オオカミ少女と黒王子」の菜々緒らが参加。
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映画評論家
北川れい子
デタラメ。悪ノリ。悪ふざけ。ファッションも美術も小道具も前作よりド派手だし、しかも股間ネタのオンパレード。けれどもここまで好き勝手をやられると、観ているこちらまでトコトン付き合う気に。三池監督の常識外のパワーと、非常識なサービス精神に白旗ってワケである。紙芝居仕立ての場面や妄想など、手抜きとバカ丁寧、のバランスも小気味良く、さしずめ三池監督の掌で遊ぶの図。残念だったのはミュージカル場面がラスト以外、無かったこと。「愛と誠」が恋しくなったり。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
CG、VFXの発達が哀しいときもある。Vシネ時代の三池作品は人力の苦労で、これはなかなか撮られへんで~という画面を実現していたが、今や大作三池映画のド派手ビジュアルはCG。「DEAD OR ALIVE 犯罪者」の竹内力の元気玉がこういう形に発展するとは思いもしなかった。山崎貴がモノとして建造困難なものをCGで見せても、へぇーと感心して観るだけだが、三池監督のそれは何かと入れ替わっていったものと感じちゃう。昔話か。本作は、飽きない、勢いある映画だ。
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映画評論家
松崎健夫
暴力団に潜入捜査中の菊川玲二というキャラクターによって、正体がバレるのか否かという〈サスペンス〉を生み、敵に捕えられ逆さ吊りに遭うという〈スリル〉を生み、ボケをかますことで勘違いをするという一瞬の〈ショック〉を生んでいるように、ヒッチコックの名言にある〈三要素〉を導いていることが窺える。さらに彼がスケベであることによって〈お色気〉という要素まで誘発させ、幕の内弁当的な彩りがある。その菊川を演じる生田斗真の演技の幅の広さには唸るばかりなのである。
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