はじまりはヒップホップの映画専門家レビュー一覧
はじまりはヒップホップ
世界最高齢のダンスチームが、ヒップホップの世界大会目指して奮闘する姿を追ったドキュメンタリー。平均年齢83歳のダンスチーム“ヒップ・オペレーション・クルー”は世界大会に挑戦することになるが、メンバーは様々な事情を抱え、前途多難で……。監督のブリン・エヴァンスは、フォトジャーナリストとして国際的なキャリアを積んだ後、テレビを中心にドキュメンタリーを手掛け、本作で劇場映画デビューを飾った。
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翻訳家
篠儀直子
リアル「鉄馬の女」が次々登場という趣だが、おばあちゃんだけでなくおじいちゃんも含め、泣き言を言う者などひとりもおらず、みんな勇敢で知的でかっこいい。島の人口構成とか、老人たちと子や孫との関係とかをバッサリ斬り落としたのが大正解で、各人物の(意外な!)過去が明らかになるパートと、ラスヴェガスの大会を目指す部分との配分や構成も非常に巧み。「まさに目の前で事件が起こっている」感が観ているあいだじゅうずっとハンパなく、心を揺さぶられる瞬間が何度も訪れる。
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映画監督
内藤誠
ニュージーランド・ワイヘキ島の風景が美しく、そこに住む老人たちが懸命にヒップホップ・ダンスを習い、ラスベガスに行くという話。都心の映画館にシニア観客が多いご時世では絶好の企画だ。しかし冒頭はまるでゾンビたちが踊っているようで、正直キモチがわるかった。それが元気のいい女性リーダーと若いヒップホップダンサーたちとの交流を重ねて、笑いと涙のエンターテインメントに仕上がっていくのはみごと。同世代から見て、イヤな老人たちも出てくるが、趣味の問題かもしれない。
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ライター
平田裕介
まだ言葉もおぼつかぬ子どもを引っぱり出したり、どこぞの小学校の何年何組が総出で出場すると、萩本欽一の後押しもあって合格ラインの15点以上をクリア。「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」で容易く入賞を狙うあざとい方法論やセオリーみたいなものを、このチーム(というかマネージャー兼振付師)から感じるが、御老体たちのキラキラした姿に和んでしまうのは避けられない。ラジオ体操程度にしか見えぬダンスだが、車椅子に乗った婆さんのフィーチャリングの仕方には唸った。
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