ひるね姫 知らないワタシの物語の映画専門家レビュー一覧

ひるね姫 知らないワタシの物語

「攻殻機動隊S.A.C.」の神山健治監督によるオリジナルファンタジー。所構わず居眠りしてしまう高校生ココネは、近頃同じ夢ばかり見ていた。突然父が逮捕され、不可解に思った彼女が父を追い東京に向かううちに、夢と現実がリンクしていることに気付く。「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の高畑充希が、不思議な夢を見るヒロイン役で声優に初挑戦。「猫の恩返し」のキャラクターデザインを手がけた森川聡子や、「ベイマックス」でコンセプトデザインを務めたコヤマシゲトらが参加している。
  • 映画評論家

    北川れい子

    「時をかける少女」ならぬ“夢をかける少女”。2020年という直近未来の設定が効果的で、彼女のみる夢が、現実とクロスしていくというのもユニーク。ただその一方、彼女が夢でみる“機械作りの国”が、人間より機械重視というのが引っかかる。王の地位を狙う邪悪な大臣の目的も……。ともあれ、二重構成で夢を現実に返していく脚本は、伏線も丁寧で、スピード感も上々。いかにもアニメふうに誇張された各キャラとその台詞も弾んでいる。高校生という少女が小6ふうなのはワザと?

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    わかるようなわからないような作品。最近私がよく考えていた「ローグ・ワン」のマッツ・ミケルセン問題、「ハンナ」のエリック・バナ問題と言ってもいいが、親の反体制的信条と娘への教育というネタがここにもマイルドにあった。一抹の共感。ただ、魂から見た真実である幻想のなかで買い替え促進地獄が描かれているのに、現実パートと映画全体が新技術礼賛方向なのは解せん。スジが悪い、でも技術は高い。このプラマイが日本映画。主題歌に違和感。清志郎は自転車が好きだった。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    昼寝で見る夢とVR装置による仮想の現実。それは主人公にとって、どちらも“現実のよう”なのである。しかし当然のごとく、本作は現実の方が重要であると描いている。本物と偽物、現実と仮想現実は、神山健治監督作品に共通するモチーフ。レンズのフレアを描くことで夢と現実の違いを表現しているのだが、象徴的に登場するのが、瀬戸大橋やレイインボーブリッジなど現実に存在する〈橋〉。実景としての〈橋〉は夢と現実の〈架け橋〉として、サブリミナル的にも描かれているのである。

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