天秤をゆらす。の映画専門家レビュー一覧

天秤をゆらす。

万年モラトリアムなダメ男2人の成長物語「カニを喰べる。」「羊をかぞえる。」に続くシリーズ第3弾。前作で田宮と青島を騒動に巻き込んだ丸井にスポットを当てる。温泉旅行に出かけた3人は森の中で死体を発見する。さらに丸井は2人とはぐれてしまい……。出演は、「セブンデイズ」シリーズの廣瀬智紀、「ザ・ムービー アルスマグナ危機一髪!」の染谷俊之、「サマーソング」の赤澤燈。監督・脚本は、前2作に引き続き毛利安孝。
  • 評論家

    上野昻志

    これ、児童映画だよね。イヤ、バカにしてるんじゃなくて、マジで。だいたい、若者三人組からして、やっていることのいちいちが子どもっぽいところにもってきて、ホンモノのガキ二人組と出会うと、彼らとほとんど同列になる。それでいて、クマがゾンビ化した男を喰う(たぶん)光景をガキどもに見せまいと、彼らの目をふさぐような大人としての優しさもある。となると、文科省推薦になるかどうかは別にして、最初からヒューマンな児童映画を目指して作ったら、もっとすっきりしただろう。

  • 映画評論家

    上島春彦

    悪くない企画、ただし犯罪がらみにしない方が良かった。子供に銃を向けるのはよろしくない演出である。それでその二人の少年だが、何となく最初から田宮と青島のダブルイメージという線に見えてしまう。意図的なものだろうが。問題なのは、最後まで見てもつじつまが合ってる気がしないんだよね。トンネルを抜けるとそこは異界、という世界観は最近の日本映画は全部そう、不思議だ。見事なのはロングショットで空間を統括する手法。ロケも丹念だし、ここでもう一本くらい撮れるのでは。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    これが第3弾と聞いて驚き、前2作を先に観ると演出は真っ当なので安心して本作に接すると、校舎から飛び出した少年たちが校庭を疾走する大ロングからトンネルを抜けていくショットへ繋がる冒頭からやはり安定感あり。森の中の死体を「ハリーの災難」よろしく靴底越しに撮ったりと趣向は諸々凝らしてあるが、少年たちはまだしも、中心となるダメ男たちの描写に時間を割かれるので、ファンならば付き合うのは苦でもないのかも知れないが。森の中の横移動ショットは良いが多すぎる。

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