ねむれ思い子 空のしとねにの映画専門家レビュー一覧
ねむれ思い子 空のしとねに
新鋭・栗栖直也が7年の歳月をかけ、ほぼ一人で制作した3DCGアニメ。幼い頃、事故で両親を失った織音はある事件で警察に追われる身となっていた。突然現れた謎の組織の導きで織音は実験用宇宙ステーションを訪れるが、そこに現れたのは死んだはずの母だった。声の出演は「キャラ丸くんとドク丸くん」の福島央俐音、「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズの井上喜久子、「攻殻機動隊」シリーズの田中敦子、「宇宙兄弟#0」の平田広明、「BORUTO NARUTO THE MOVIE」の木島隆一。2014年11月27日、劇場公開に先駆け、第24回TAMA CINEMA FORUM『TAMA NEW WAVE ある視点 -Excellent in the art-』にて上映。
-
評論家
上野昻志
チラシには、「人知れずDVD化された無名の自主制作&自主レーベル・アニメ」とあるが、これは、企業や製作委員会などの手にならない、インディーズによって作られたアニメ作品ということなのだろう。監督中心の独立した制作とはいえ、そこには協力を惜しまない独自のネットワークがあったはずだ。だが、それでもアニメーションの分野では、このような形が今後盛んになるだろうし、その先駆けとして、よく出来た作品ではある。とくに実写では困難な宇宙ステーションの映像には感心した。
-
映画評論家
上島春彦
フルCGアニメで日常を描くのが新機軸なのかと数分間誤解していたが、そんなわきゃあない。堂々たる未来SFであった。両親を交通事故で失った少女が十九年後、その亡き母親に思いがけない場所で出会うことになる。隠すことでもない。実験用宇宙ステーションで出会う。これは栗栖直也流の「惑星ソラリス」へのオマージュ。だから、あるんだよちゃんと。無重力空間での人物の浮遊ショットが。タイトルは二人をつなぐ絆の子守歌の一節で、しみじみした好楽曲。やられた感メチャ高!
-
映画評論家
モルモット吉田
予備知識なく観たので、3DCGも見劣りしない全く普通の商業用アニメと思っていたら、ほぼ1人で作り上げた自主制作と知り驚く。宇宙ステーションなどのSFの装飾を剥ぎ取れば、母ものと言っては悪いが、古典的な母子の純愛劇である。この辺りは「ほしのこえ」と同様の接続手法だが、商業作なら臭みになっても、好んでそうした設定を用いた作家の色が出ているので不快にならずに観られる。もっとも、作り手も若い観客もこうした微温的なものを好む傾向には首を傾げるのだが。
1 -
3件表示/全3件