トリガール!の映画専門家レビュー一覧
-
映画評論家
北川れい子
このところの土屋太鳳は、迷走、妄想のハシャギ女子ばかりが目立ち、この「トリガール!」も、さぞやピーチク、パーチク、騒がしいのではと思ったら、今回は体育会系女子役で、けっこう根性がある。何よりも、大学の人力飛行サークルという設定がいい。飛行するには、縁の下の力持ち的な各班の協力が不可欠で、その描写も興味深い。で土屋太鳳は一番おいしいパイロット班で、琵琶湖の空へ。部員たちのキャラや、いくつものアクシデントも嫌味はない。晴れ晴れ感が嬉しい娯楽作。
-
映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
監督英勉のふざけかたは、ふざけることを自ら禁じて息苦しい世界を形成しがちな青春キラキラ映画にとって良い横ずらしだ。「ヒロイン失格」の、ジャンル内における批評性は悪くなかった。本作は若さを燃やす対象に出会った若者の話であり、恋愛至上主義でないのが好ましい。暴れる土屋太鳳、良し。ところで彼女出演作「兄に愛されすぎて困ってます」でも本作でもイケメンが自転車でバスを追い抜いてイキがるがあれはダサい。時速五〇キロをもっと重いギアできっちり漕げ。
-
映画評論家
松崎健夫
人力飛行サークル部員として異色の存在であるヒロイン。土屋太鳳の運動神経が活かされつつ、時おり彼女に後光が射すことで“主人公である”と視覚的にも印象付けている。一方で、全員メガネ男子という集団の中でキャラ立ちする高杉真宙の“個性的な没個性”という役作りも印象的。本来であればライバルチームとの対決が物語の中心となるはずだが、本作にはその対立構造が無い。代わりに、人力飛行が己との戦いであることを提示することで、チーム内の対立を際立たせているのである。
1 -
3件表示/全3件