スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイドの映画専門家レビュー一覧

スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイド

    「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」に続き、哲学者スラヴォイ・シジェクが、映画史に残る名作を独自の視点から分析したドキュメンタリー第2弾。「サウンド・オブ・ミュージック」や「タクシードライバー」に隠されたイデオロギーを読み解く。メガホンを取ったのは、前作に引き続きソフィー・ファインズ。
    • 映像演出、映画評論

      荻野洋一

      受験予備校のサテライト授業のごとく、S・ジジェクがそれらしくカメラ目線を堅持することの滑稽さによって、彼の講義内容それ自体以上に〈映画〉が生起する。ジジェクは「タクシードライバー」の主人公の孤独なベッドに横たわり、「ゼイリブ」のゴミ置き場に身を寄せつつ、饒舌機械であり続けようとする。だが「時計じかけのオレンジ」のミルクバーになぜ彼は座らないのか。あのサイケな店内デザインに著作権料が発生するからか。そういう暗黙の不文律の集積こそ〈映画〉なのだ。

    • 脚本家

      北里宇一郎

      共産主義や資本主義、キリスト教などの思想に対する考察を映画の場面を引用して解説していく。いわば眼で追う哲学書みたいなもんだが、おかげでとっつきやすく、文字で読むより分かりやすい(のでは?)。引用した場面と同じ背景でジジェク氏が語る趣向も愉快。“大文字の他者”という発想もなるほどと感心。ただ映画を観るというより、ひたすら字幕を追うという印象がなきにしもあらず。ちと図式的だったり強引すぎる意見もあったりして。とはいえ脳細胞を刺激されたことは確かで。

    • 映画ライター

      中西愛子

      スター哲学者、スラヴォイ・ジジェクが解説する、映画の読み方講座第2弾。名作の中に潜むイデオロギーを語り倒す。最初に登場するのは、ジョン・カーペンターの「ゼイリブ」(88)。この作品に掛けると物の本質や仕組みが見えてしまうサングラスが登場するが、これを3Dメガネのように掛けさせられて、観客は134分の本篇を観ていく感じ。恐ろしく鋭く、狂気じみながらも知的。丁寧な案内で、各名作の凄さも再認識できる。映画の再現セットにジジェクが入って語る参加型空気もいい。

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