エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街の映画専門家レビュー一覧

エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街

    「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」に登場するキャラクターを演じた俳優に迫るドキュメンタリー。ダース・ベイダーのスーツアクター、デヴィッド・プラウズらが登場。1976年にエルストリースタジオで行われた撮影や出演後の彼らを追う。本作はクラウドファンディング『Kickstarter』で資金調達し製作された。劇場公開に先駆け、特集企画『カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション 2016』にて上映(上映日:2016年8月11日)。
    • 翻訳家

      篠儀直子

      一〇二分の映画のうち、「スター・ウォーズ」製作時のことが語られるのは二〇分ほど。ごく小さな役で出演した人々(例外はダース・ベイダーの「中の人」だったD・プラウズ)の、この映画の前の人生、あとの人生が、本人たちの証言で語られる。コンベンションをめぐる話のくだりがいちばん印象的だが、一方で、エキストラ同然だった人たちもほとんどはプロの俳優であり、イギリス映画界で俳優として生きるというのがどういうことか、そのサンプルをいくつか見ているかのようでもある。

    • 映画監督

      内藤誠

      「スターウォーズ エピソード4」の内容も知らず、コスチュームやヘッドギアのかげで顔も知られずに演じていたという男女俳優の軌跡を追うドキュメンタリー映画だから、カルトなファンなら見たくなる企画。大ヒット作品とはいえ、誰しもダース・ベイダーをデイヴィット・プラウズという役者で覚えているわけではないので、全篇に溢れる人生の哀歓を知ると、映画や演劇を志す人に見せて、業界の厳しさや覚悟を知ってもらいたくもなる。出演者たちが、作品と家族を愛しているのがいい。

    • ライター

      平田裕介

      一発屋ならぬ一着屋ともいうべき者たちの波瀾万丈な物語。それを期待したいところだが、ほとんどの者が「SW」出演はあくまで人生の通過点だと考え、謹厳実直に生きている。そこを浮き上がらせるのが本作の狙いだろうが、そんなもんだろうと思えるし、個々が語る「SW」裏話もいまさら驚くほどのものでもない。とはいえ、ダース・ベイダー=デイヴィッド・プラウズがダントツで稼ぐなど、コンヴェンションにおけるキャラ的ヒエラルキーが劇中そのままになっているのは興味深い。

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