覆面系ノイズの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
少女漫画もその映画化も言ってみればスナック菓子、読んだり観たりする側は、ちょっと変わった味付けの方が気分転換になるのだろうが、それにしてもこの青春ラブストーリー、大人には我慢と忍耐。幼い時に“運命の人”に出会った女子高生をめぐる、音楽絡みの三角関係――。親や教師は一切登場せず、学校や教室はただの溜まり場。しかもある理由でいつもマスクをしているヒロインが、ケタタマシイ美声(!)の持ち主というのもウヘーッ! 救いはロケ地の鎌倉と江ノ電。ここだけホッ。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
大人気漫画なるものを原作とする映画でよくある、原作設定を、皆さんご存知の……とシレッと前提にしてしまうか、懇切丁寧に観客に説明していくかの、その度合いがブレてたような気が。主人公を説明する過去の回想が中断されてる編集も良くない。しかし、中条あやみの歌う顔のアップの破壊力は凄く、歌うことで生きる実感を持てるというヒロインを信じさせた。恋愛ものにおいて幼馴染と恋を成就させるのは保守的で、その甘い呪縛を破るのが進歩的革新的。本作の世界観は……。
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映画評論家
松崎健夫
この物語の少年少女たちは長年顔を合わせていないが、相手に恋心を抱き続けている。そんなことが可能なのだろうか?と大人は勘ぐってしまうのだが、それゆえ“声”が鍵となる。本作において“歌”の存在は重要である。“歌”が魅力的でなければ、この映画自体の魅力も欠ける。それは音を伴わない漫画との違いでもある。本作で容姿よりも“声”の魅力が勝るのはそのためだが、それは現代社会の“美”に対するアンチテーゼのようにも見える。但し、中条あやみは抜群に美しいのだけれど。
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