ジャッキー ファーストレディ 最後の使命の映画専門家レビュー一覧
ジャッキー ファーストレディ 最後の使命
悲劇の大統領ジョン・F・ケネディの妻ジャクリーンをナタリー・ポートマンが演じた伝記ドラマ。最愛の夫が凶弾に倒れ、ジャクリーンの人生は一変。やるべきことが山積みの中、夫を語り継がれる存在にするため、彼女が葬儀までの4日間に取った行動とは……。監督は「NO」が第85回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたパブロ・ラライン。製作には「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキーが参加している。第73回ヴェネツィア国際映画祭脚本賞受賞作品。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
こういう映画って女優なら一度はやってみたくなるものなのだろうか。ジャクリーン・ケネディの伝記映画というよりも、ナタリー・ポートマンがジャッキーを演じるセミドキュメンタリーみたいな感覚で観た。製作側のスタンスも完全にそうなっていて、とにかく夫ケネディの影の薄いこと! 暗殺以後の彼女の行動に焦点を絞っているので、夫婦間の絆といった側面はほぼ描かれない。その結果、ヒロインの強い意志が何に支えられているのか謎な感じもなくはない。ポートマンは頑張っている。
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映画系文筆業
奈々村久生
ファーストレディとは何かを考える上で絶妙にタイムリーな公開となった。夫である大統領のショッキングな死と闘いつつ葬儀を取り仕切った妻の武勇伝かと思いきや大間違い。ケネディそっちのけの感情論で公務と自己実現を混同した挙げ句自己の正当化に至る過程は、同性としては共感しても反発しても己の業の深さ、あさましさ、醜さを露呈するだけという悪魔のような映画。アロノフスキー製作らしい意地の悪さが全開だが、演出はアロノフスキーほど娯楽性に長けていないので余計にきつい。
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TVプロデューサー
山口剛
脚本を書いたノア・オッペンハイムは、大統領暗殺からの数日間が、ジャッキーをアイコンにしたと言っているが、映画はまさにその数日間を描いている。すべて忠実細緻に再現され、ポートマンも美しく聡明なジャッキーを演じているが、血の通った人間は感じられない。人間でなくあくまでアイコンなのである。ホワイトハウスを去り、ジャーナリストに復帰し、幾つかの浮き名を流した後オナシスと再婚する脱アイコンの時代を知っている我々観客の興味、関心は満足させてくれない。
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