8年越しの花嫁 奇跡の実話の映画専門家レビュー一覧

8年越しの花嫁 奇跡の実話

「奇跡の結婚式」と話題を集めた実話を「64―ロクヨン―前編/後編」の瀬々敬久が映画化。結婚式を控えた麻衣が突然、病気で意識不明の重体に陥る。恋人の尚志は回復を祈り、長い年月を経て目を覚ます麻衣。だが、更なる試練が2人を待ち受けていた……。出演は「亜人」の佐藤健、「トリガール!」の土屋太鳳、「僕だけがいない街」の杉本哲太、「DESTINY 鎌倉ものがたり」の薬師丸ひろ子。
  • 評論家

    上野昻志

    こういう話に対して、どうしても身構えてしまうところがあるのだが。でも、素直に見ることが出来た。シナリオを含め、語りのリズムが歯切れよく、時間の流れがスムーズに受け止められたということがある。そして、何よりも、眠り続ける許婚者を病院に見舞う佐藤健の身振り・表情に気負ったところがなく、自然体なのが良かった。彼にとっては持続する時間が、許婚者(土屋太鳳)にとっては空白という決定的なずれを埋めるのが、スマホに残された画像というのにも納得。

  • 映画評論家

    上島春彦

    チラシを見れば「眠りの森の美女」風のよくある難病ヒロイン(とその恋人)物、と誰でも思うだろう。ところが予想はころっと裏切られて、彼女が意外と早く目覚めたあたりから、思わぬ不穏な展開に突入する。思わぬ、と言っても写メとかきちんと練られた使用法でカタルシス大あり。冒頭部が問題の写メによる画面で、思い返せば彼女の表情もうつろであった。恋人たちの記憶(障害)映画というのはメロドラマの王道であり、実話の枠を超えて感涙必至。ご当地映画っぽい側面も楽しい。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    「64」以前は規模の大小によって出来不出来が激しいと感じることもあったが最近は好調な瀬々だけに、〈感動実話の映画化〉をわざとらしい催涙場面で盛り上げることもなく、題名でオチまで明らかな内容を淡々と描写を積み重ねる実直な作りに好感。ドキュメンタリーを経由した監督だけに実話への安易な依存がないのも良い。悲劇に直面した花婿という熱演したくなる役だが、佐藤の無機質な雰囲気で抑制されている。土屋太鳳は生気がありすぎて退院後は良いとしても療養中は過剰。

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