海底47mの映画専門家レビュー一覧
-
翻訳家
篠儀直子
あまりお金を使わずに面白い映画を作る上手い企画を考えたものだと思うし、ずいぶん意地悪な話を考えたものだとも思う。でも気になるのは、遭難後の姉妹がいわゆる「心の声がダダ漏れ」な勢いでずっとしゃべっていることで、ボンベの酸素がなくなるんじゃないかと、映画が用意したサスペンスとは関係ないところではらはらしてしまう。台詞がないと観客に状況が伝わらないと考えてそうしたのだろうけど、画面でわかることをわざわざ口にしている台詞も多く、何とかできなかったものか。
-
映画監督
内藤誠
陽気で軽い感じのクレア・ホルトが失恋して陰気な姉のマンディ・ムーアを慰めるためにメキシコ旅行に連れ出すまではまともな話だが、サメ見物のために一見してワイヤが老朽化し、危なっかしいケージに乗り込むあたりから、予想通り、無思慮な娘たちに災難が襲いかかる。監督はダイビングに詳しいらしく、酸素の温存や急な浮上が潜水病を招くことなど、次々に危険な課題を映像化してみせ、それにこたえてヒロインのホルトも頑張る。だが広い海が密室となり、観客は疲れはてる。
-
ライター
平田裕介
気合いを入れて泳げば助かるかも。そんな希望を観ている者にも抱かせる“海底47m”という状況設定は秀逸。加えて、ダイビング業者を装備的にも人格的も信用できないように描くことでもスリルを盛り上げており、無線だけのやりとりで表情が窺えないこいつらの動きにはサメ以上にハラハラする。スタジオのプールも使ってはいるだろうが、ほぼ全篇にわたって水中シーンという根性にも敬礼したくなる。だが、気弱な姉の成長を見せつけておいて、それを完全に活かせず終わったのは残念。
1 -
3件表示/全3件