リバーズ・エッジの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
いじめに援交、手作り弁当のデイトなどなど、現在なら中学生たちの世界。が、岡崎京子の原作漫画では彼らは高校生、映画も高校生のままで、その辺り、時代の変化を感じないではいられない。互いの連絡も家庭電話。けれどもどの時代にも共通する青春期特有の独り相撲と、その暴走は、大いに説得力があり、雑草、死体、河、工場群も生々しい。アウトサイダーふうの主人公・二階堂ふみとゲイの吉沢亮との奇妙な友情も、ささやかな救いとして印象的。監督による彼らへの質問も面白い。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
これは苦手なほうの90年代だ。当時原作を読んでも何をスカしてんだか、とわからなかったが、そのわからなさがそのままよみがえり、そういう意味では的確な映画化かと。しかし脚本の突き刺しかたが浅い気がした。自分が18歳くらいのときは貧乏すぎて焦燥も倦怠もなかったが死体は至るところにあった。隣人は腐乱して発見され、ドヤ街に映画を観にいけば客席でホームレスが死んでいた。死体は臭いものだ。それを知らない者が持ちうるファンタジー。かっこいい映画だとは思う。
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映画評論家
松崎健夫
「岡崎京子のコマ割は映画的である」と感じていたことを確信させた本作。同時に、実写映画であるからこそ漫画とは異なる表現も実践してみせている。例えば、山田が焼身自殺を図った田島の姿を目撃するカット。徐々に笑みを浮かべる表情の変化は、役者の身体によってキャラクターをより“ナマモノ”にさせている。いつの時代も「イマドキの若者」と揶揄される不変が導く、若者たちの鬱屈という普遍性。それゆえ、教室前で二階堂ふみと邂逅する小川紗良という組み合わせの妙に震えた。
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