アンダー・ハー・マウスの映画専門家レビュー一覧
アンダー・ハー・マウス
新世代のミューズとして活躍中のモデル、エリカ・リンダーが主演を務めるラブストーリー。昼は大工として働き、夜は毎晩のように違う女性を渡り歩くダラス。ある夜、ファッション誌エディターのジャスミンと出会い、二人は情熱的な時間を過ごすのだが……。監督は『アウト・オブ・コントロール』のエイプリル・マレン。共演はTV『リスナー 心を読む青い瞳』のナタリー・クリル、『デッドリースト・シー 死のベーリング海』のセバスチャン・ピゴット。一般公開に先駆け、2017年7月9日、『第26回レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭』にて上映。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
うーん、良くも悪くもエリカ・リンダーの魅力というか人気というかイメージに全面的に依存した映画で、それを一歩も超えていない。たぶんそういう受容の観客しか観ないのだろうから別に構わないとも言えるが。オシャレなエロシーンの連続に赤面、いや鼻白みつつ観終えたが、あとにはまったく何も残らなかった。悪いけどこれはLGBT映画でもなんでもないと思う。「アデル、ブルーは熱い色」と較べるのもあっちに失礼だが、志が根本的にまるで違う。なにがネオイケメンだよ、と思ったね。
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映画系文筆業
奈々村久生
エリカ・リンダーは外見や肉体が極端に男性的であるわけではない。その中性的な顔立ちは男としても女としても美しく、体つきにも女性らしさはある。しかし振る舞いや歩き方はたしかに男のそれに見える。劇中で彼女は「私は単なるトムボーイではない」と口にするが、性別がセクシュアリティやジェンダーの問題である以前に「自由になりたかった」という一言がすべてだろう。ただの人と人がどうしようもなく惹かれ合うとき、異性という存在はあまりに虚弱であると描ききった力作。
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TVプロデューサー
山口剛
正確に計ったわけではないが、全体の半分以上が女性同士の過激なセックス・シーンである。ディルドを使うシーンも何度かある。レズビアンがストレートな女性を虜にしてゆく過程を肉体関係だけで描こうという意図は判らなくはないが、濡れ場と濡れ場を繋ぐシーンが陳腐で創意がないので、限りなくポルノグラフィーに近いものになっている。監督は女性で同性二人の絡みは美しく撮られており、興奮を誘うが、その興奮はすぐれた映画が与えてくれる興奮とはいささか違うようだ。
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