ばぁちゃんロードの映画専門家レビュー一覧
-
映画評論家
北川れい子
たびたび映画のロケに使われている富山県氷見市が舞台だけに、風景も空気も穏やかでいい。が、せっかく大ベテランの草笛光子を登場させながら、骨折を理由にベッドと車椅子に縛りつけるとは、あまりにももったいない。いや、それ以前にハナシが実に他愛ない。草笛のおばあちゃんを励ますのが、結婚を控えた孫娘の文音で、曰く、バージンロードを歩いてほしいから。いや、励ます理由はともかくとして、文音のナリフリの軽薄さは小娘並で、無意味にハシャいでいるのも退屈の極み。
-
映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
ナンシー・メイヤーズ監督作「ホリデイ」に、イーライ・ウォラック演じるハリウッドの脚本家に名誉賞授与の話があり、老齢のため彼は歩行器なしでは歩けないところ、知り合ったケイト・ウィンスレットが、晴れ舞台にちゃんと歩いて出席しましょ、と彼に歩けるようになるトレーニングをほどこすエピソードがあるが、それと同じ感銘はあった。歩けないおばあちゃんを演じた草笛光子は通販番組で足腰を鍛える健康ステッパーの宣伝をやっていて今日もぐいぐいステップ運動している。
-
映画評論家
松崎健夫
何度も挿入される“食”に関する場面。本作では“食”を描くことが“家族”を描くことに繋がっている。「あたためて食べてね」とメモが添えられた食事。喧嘩になった後も「お腹がすいただろう」という祖母の想いが“食”に投影されている。そして同棲するふたりの夕食場面もまた、家族の思い出と繋がっている。過去と現在を繋ぐのは“手作りコロッケ”。鑑賞後は“手作りコロッケ”が愛おしくなること必至で、僕も帰り道に思わず購入。残念ながらコンビニのコロッケだったのだけれども。
1 -
3件表示/全3件