オンネリとアンネリのおうちの映画専門家レビュー一覧

オンネリとアンネリのおうち

フィンランドで長く愛される児童文学『オンネリとアンネリ』シリーズの映画化。仲良しのオンネリとアンネリはある日、お金の入った封筒を拾う。そのお金でバラの木夫人から素敵な家を買った2人は、ご近所さんと交流しながら、一緒に暮らし始めるが……。フィンランドでは3週連続でランキング1位を記録したヒット作。監督は「星の見える家で」のサーラ・カンテル。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    最近、女の子に生まれたかったと思うことが多い。フィンランドの夏休み、親友同士のオンネリとアンネリは、白夜で長い長い一日を好きなものに囲まれて過ごす。かわいらしい夏のワンピースに帽子やリボン。未亡人の店で、ブタの貯金箱ひとつを買うのも冒険だ。おばあさんから提供される「おうち」は、北欧のおしゃれな家具や小物、お人形やおもちゃであふれている。たとえ家庭に複雑な事情があっても、女の子には身近な楽しみがたくさんあるよね。と、うらやましくなる一本でした。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    事情は違うが両親に十分にかまってもらえない二人の少女が自分たちだけの家を買い、暮らすという奇想天外なストーリーに相応しく、主人公のオンネリとアンネリを含め、登場人物のキャラクターがバラエティーに富んで面白い。これらのキャラがひと通り出揃うと話の行方は見えてしまうが、カラフルなヴィジュアルとマジカルな仕掛けで楽しませてくれる。中年の恋あり、(アイスクリーム屋の)親子関係の問題あり。少女の夢の世界に大人の事情もちりばめられ、家族で安心して見られる。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    児童文学の良質な映像化。現実と非現実の境目が曖昧で理屈にとらわれない子供独特の世界を、大人の文法に当てはめることなく描いている。名前も髪型もそっくりで、色違いや柄違いの双子コーデで共に行動する二人は、自分の存在を肯定するもう一人の自分の姿だ。リアリティとは別の方向性で作り込まれた植物やインテリアはハイクオリティなままごとアートで女の子の夢。もちろん男の子が憧れてもいい。子供たちがラップ調で歌うエンディングテーマもかっこいい。子供の頃に観たかった。

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