パンク侍、斬られて候の映画専門家レビュー一覧
パンク侍、斬られて候
町田康の異色時代小説を「新宿スワン」の綾野剛主演、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」の宮藤官九郎脚本、「狂い咲きサンダーロード」の石井岳龍監督で映画化。江戸時代、隠密ミッションを巡り10人の男たちが腹の探り合いを展開する。出演は、「君の膵臓をたべたい」の北川景子、「OVER DRIVE オーバードライブ」の東出昌大、「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」の染谷将太、「クソ野郎と美しき世界」の浅野忠信。
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映画評論家
北川れい子
おお、「地獄の黙示録」の石井岳龍監督版だっ! フトドキでふざけていて不真面目で不埒千万、けれども狂態、狂騒のあちこちに、世界の現実や世間のデタラメさが透けて見え、もう面白いったらない。面白さにつられて町田康の原作を読んだら、これまたとんでもなく自由奔放で、宮藤官九郎の脚本も原作にノリノリ。演技陣の真面目な怪演もワクワクさせ、各キャラのナリフリも超リアリズムでドギモを抜く。天下分け目のヤラセの大暴走に、猿まで加わっての大迷走。北川景子のキャラもいい。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
永瀬正敏が大臼延珍という猿神を演じ、なおかつナレーションをしていることがネタバレ禁止でなぜ? と思うがたしかにそれは脚本宮藤官九郎独自の工夫であるらしく大きな意味があると思える。しかしそんなにうまく機能していないというか、それについて観た者が話さないと機能しないと思うのでその話をする。パンクがオリジナルのロックの活気リバイバル戦略としてチンピラさを意識的に演じたメタなものなのとこの物語全体が登場人物を突き放した語り手に語られてい…字数が尽きた。
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映画評論家
松崎健夫
〈映画〉とは興行でもある、というのが個人的な考え方である。そして、リュミエールの作品群を映画誕生とする以上、スクリーンに投影された映像を不特定多数の人間が同時に鑑賞するものを〈映画〉と呼びたい。そういう意味で、ネット配信会社が興行のリスクを負うことの意義を、某Netflixには本作から再考いただきたいと願う。怒濤の情報量を持つ映像は縦横無尽なカメラを伴い、嬉々として演じる役者たちを捉えている至福。石井岳龍ではなく、斯様な石井聰亙を僕は観たかったのだ!
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