ペンギン・ハイウェイの映画専門家レビュー一覧

ペンギン・ハイウェイ

森見登美彦のファンタジー小説を原作にしたアニメーション。毎日熱心に勉強を続ける小学4年生のアオヤマ君はある日、地元の住宅街でペンギンを目撃する。どこからともなく現れ、どこかへ消えたペンギンの謎を解くため、研究を始めるアオヤマ君だったが……。声の出演は『バイプレイヤーズ ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』の北香那、「彼女がその名を知らない鳥たち」の蒼井優。
  • 映画評論家

    北川れい子

    わっ、もうビックリ!! 何とキュートで魅力的なアニメーションだろう。街にいきなり出没するようになったペンギンの謎と不思議をそのまま楽しんでもおつりがくる面白さだが、謎と不思議をあれこれ推理するのもスリリングで、しかも絵も実に美しい。キーワードはガラクタを宙に投げてペンギンに変えてしまう歯科医院のお姉さんだが、日常にひょいと超自然的非日常が入り込んでの悩ましい展開は、クセになる面白さ。草原に浮かぶ“海”に「惑星ソラリス」的な哲学的神秘を連想。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    アニメというものがおおきいおともだちのためのソフィスティケイトされたポルノのように感じられてノレないことが多いが、本作では主人公少年がさんざん憧れのおねえさん(蒼井優が推定身長百七十センチ超で胸の豊満な女性に変身してる)の乳房を話題にするにもかかわらずそれがきっちり精通前の少年の不能的感性の物語としてつくられており邪念なくセンスオブワンダー冒険を追って観られた。レムとタルコフスキーの“ソラリス”、「ゾンからのメッセージ」に通じるものがあった。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    “少年の手描き研究ノート”という面倒な作画を実践している本作。ノートには“お姉さんのおっぱい”に関する考察が確認できるが、“胸の揺れ”に対する作画も丁寧に実践されている。〈メタモルフォーゼ〉は本作の重要な要素だが、お姉さんが物体の変形・変態の鍵を握ることは“お姉さんのおっぱい”と無縁ではない。そして夏であるため、お姉さんが薄着であることや水の形状変化とも無縁ではない。つまり、形の定まらない“お姉さんのおっぱい”は単なるスケベ描写ではないのである。

1 - 3件表示/全3件