クレイジー・フォー・マウンテンの映画専門家レビュー一覧
クレイジー・フォー・マウンテン
世界の名峰に挑む登山家やアスリートたちを追ったドキュメンタリー。荘厳なオーケストラ演奏をバックに、エベレストやモンブラン、デナリなど世界屈指の難関峰に挑む登山家や、ロープを付けずに垂直の岩壁を登頂するクライマーの姿など、息を呑む映像が続く。ナレーションは、「オリエント急行殺人事件」のウィレム・デフォー。
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翻訳家
篠儀直子
普通に暮らしていたら目にすることのない超絶景、想像もできない命知らずの行為を、世界中からかき集められた選りすぐりの映像で見ることができる。しかしさらに重要なのがクラシック交じりの音楽であって、山岳映画であると同時に音楽映画でもある。これほど音楽が力を持つのは、サイレント映画が生オケつきで上映されていた時代以来ではないかとさえ思うから、サイレント映画にならってナレーションも字幕にすればよかったのにと思うけど、ウィレム・デフォーの声もやはりいい。
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映画監督
内藤誠
ドローンなどの新技術を駆使して、危険で孤独なロッククライミングの撮影があったかと思えば、詩情溢れるアルプス連峰の遠景に切り変わる。一見、脈絡のないような編集だが、見終わると山岳について楽しく学べたような気分になる。山好きが待ちかねた映画である。作曲家トネッティからドキュメンタリー映画監督のピードンにコラボレーションを申し込んで仕上がった作品だけに音楽と映像が山々の美しさと残酷さ、最近の有名企業とネットユーザーの介入による危険性までよくとらえていた。
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ライター
平田裕介
フリー・ハンドで断崖絶壁をよじのぼったり、思いっきり滑落してロープ一本で吊り下げられたりと、体のいろいろな部分が縮み上がりそうな映像が続くのだが、結局はフッテージの寄せ集めですべてが作品のために撮られたものではない。別にそれでも構わぬが、そのわりに偉そうな感じで「なぜ、人は山に惹きつけられるのか?」みたいな講釈を垂れてくるあたりに釈然としなかったりはする。そこを探求するためにも登って撮ってきなよと思うのだが。とりあえず音と画の融合は素晴らしい。
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