ダウンレンジの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
大して面白くもない会話が大して面白くもない演出でだらだら続き、いっこうに事件が始まらないうちはどうなることかと思ったが、生き残り全員が物陰に逃げこんでからはそれなり面白くなる。これまたキャンプ場で若者たちが殺人鬼に襲われる物語の変奏。一個のアイディアだけで勝負しているような映画だが、そこまで血まみれにしなくてもというのも含め、数年後にカルト作品になりそうな予感。キャスト等のチープさは否めないけれど、中心人物を演じた女優二人の今後には期待したい。
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映画監督
内藤誠
めったに車も通らないようなハイウエーを舞台に銃を撃ちまくる設定で、日本出身のプロデューサーと監督が、アメリカでなければ撮れない娯楽映画をつくってみせた。こんな物語は、日本ではできないわけだが、ダウンレンジ(射程圏内)にある男女をひたすら殺し続けるスナイパーはいかなる人物か、観客はその正体を終始、知りたくなるのだけれど、それは見てのお楽しみということで、バッドテイスト向きの作品。構成がここまで単純かつ一直線で、キャラクターを追求しないのには驚いた。
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ライター
平田裕介
数メートル進めば携帯が圏外から圏内、車体は貫通できない弾丸、生贄のなかに狙撃に詳しい者がいるなどの状況をもれなく活かし、生き残りをめぐるスリルを盛り上げまくる。それに乗せられ、ビックリするくらいモッサリしたスローモーションの使い方も80年代B級スラッシャーを想わせて良しとなってくる。射殺体を鳥についばませたり、車で轢き潰したりする執拗な人体破損描写、最後までわからぬ狙撃手の素性、こちらの予想を覆す“殺される順番”などもいちいちわかっていて◎。
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