MANRIKIの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
川口敦子
「その着想は、芸人・永野のファッションイベントでの“違和感”」で、「顔デカ、モデル、小顔矯正、日本文化、合コンで鼻取れる女、サスペンス、ホラー、そしてコメディ……というキーワードの数々」から出来上がった映画はでも、笑えない。串刺しのモチーフだけで転がるものを映画とは呼びたくない。この笑えなさ、この不快さが日本の今だといいたいのかと百歩譲って思ってみても空しさは拭えない。「ビューティフル・デイ」のJ・フェニックスもどきの後半の主人公も上滑りで残念。
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編集者、ライター
佐野亨
半世紀前に描かれた長新太や井上洋介のナンセンス漫画がそうであったように、極限まで研ぎ澄まされた笑いは本来それじたいアートなのだが、わざわざアート的な意匠を凝らして尖端ぶった表現は、作り手の自我をも笑い飛ばすほどの強度をもたず、ただただ痛々しく空回りするだけである。それどころか「このコントを笑えない人間は小さくないか?」と悦に入っているのだから始末がわるい。せめて「くだらなさ」の追求に徹してくれればと思ったが、半端な社会諷刺でそれもかなわず。
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詩人、映画監督
福間健二
「小顔になりたい」若い女性と「若い男をつなぎとめたい」年配女性を、どんな目にあわせてもかまわないかのように扱う。顔を変形させる。首を切断して命を奪う。作中では事故的にそうなるけど、清水監督たちは意図をもってやっている。愚かな願望とそれにつけこむ浅知恵。そういうものの戯画を極端化するが、これがやはり浅知恵、粗雑。出番が多いのは整顔師として登場して最後は死刑室に送られる斎藤工だが、主役は頭を挟む万力装置か。このチームを窮屈なところに追いつめている。
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