ラフィキ:ふたりの夢の映画専門家レビュー一覧
ラフィキ:ふたりの夢
同性愛が違法とされるケニアで上映禁止になる一方で、カンヌなど100以上の映画祭に出品された話題作。看護婦になる夢を持つケナは、国会議員を目指す父の対立候補の娘ジキと出会う。互いに惹かれ合った2人の関係は、やがて友情から愛情に変わるが……。主演は、ミュージシャンとして活躍し、これが女優デビューとなるサマンサ・ムガシア。
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映画評論家
小野寺系
いまだに同性愛が罪になるというケニアで、新世代の才能ある女性たちが保守的な価値観をぶち破るべく放った渾身の作品。シンプルながら、同性愛への周囲の反応をリアリティをもってすくいとった一つひとつの描写は、現実に存在するだろう同調圧力を見事に表現している。そして環境につぶされていく様子を描きながらも、“何がいけない?”というフラットな価値観を捨てないで、タブーを破壊し前進していくキャスト・スタッフたちの作品への姿勢が、とてつもなくかっこいい。
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映画評論家
きさらぎ尚
主題となっている肝心要の、レズビアンのヒロインの二人が惹かれあっていく感情が見えてこない。この種の物語によくあるエピソードを網羅したことが、かえってドラマを陳腐に。よってラブシーン、親や周囲との軋轢といった関係も表面的にしか思えないのは残念。かといってまったく見どころがないわけではなく、社会に根強く残る男尊女卑に注ぐ監督のまなざしは、見逃さずに受け止めたい。志やよし。本国のケニア国内では上映禁止だったが、限定公開にまで漕ぎつけたそうである。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
同性愛が法で禁じられているというケニアでこの映画が撮られたことの意義や、製作者たちの熱意は充分に伝わってきたし、原色のドレッドヘアや衣裳、装飾は下品になることなく画面を彩り、人物に寄り添ったカメラも時折ハッとするようなショットを生み出しているのだけれど、純粋に映画として面白いかと問われると疑問符がついてしまうのは、二人のヒロインの境遇や物語の流れに過度の都合の良さや既視感があり、直接的なテーマ以上の何かを感じることができなかったからだと思う。
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