ディエゴ・マラドーナ 二つの顔の映画専門家レビュー一覧

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔

サッカー界のスーパースター、ディエゴ・マラドーナの真実に迫ったドキュメンタリー。1984年、イタリアの弱小チーム、SSCナポリに移籍したマラドーナは、チームをセリエ A初優勝に導くなど活躍する一方、トラブルメーカーとして忌み嫌われることに。監督は「AMY エイミー」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したアシフ・カパディア。2020年6月5日→7月10日より再度公開延期。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    これほど魅力的な生涯を送った人間だったとは。ひとりの人間が「ディエゴ」と「マラドーナ」と二項対立として描写されるが、ふたつの領域を侵犯することが、人間の不安定で危うい本当の魅力なのではないだろうか。実況中継が「なんということでしょう、泣きたい気分だ、ああ神様、涙が止まりません」と叫び続ける。このように個人と公の立場が混ざり合い、危うく不純物のない誠実さ。人々が愛したのは、歓喜し憤慨し悲嘆し落胆する愚直過ぎる正直な公私のない彼の姿だった。

  • フリーライター

    藤木TDC

    当初予定の公開がコロナ第一波で延期された間にディエゴが急逝、感傷的に見ざるを得ない。「アイルトン・セナ 音速の彼方へ」同様、膨大な映像素材中の一瞬の表情から隠された本心を抽出する監督の手腕は素晴らしい。TVニュースが切り出すディエゴとはまったく違う顔の彼がここにいる。二度のW杯を含むナポリ時代の美技がたっぷり見られ、サッカーの狂熱やスター選手の栄光と苦悩が生々しく伝わる。それは本作がほかならぬあなたの映画だからだ。ディエゴよ、安らかに眠れ。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    サッカーに詳しくないけれども、マラドーナがお騒がせ有名人で毀誉褒貶が激しいのは視界に入ってくるし、引退後も波瀾万丈だった印象があるので、本作で焦点を当てて取り上げる期間が狭く限定されているのが物足りない。区切った分深掘りしているならまだしも、先述のイメージを裏付ける程度の意外性のない逸話や写真が多い。現役時代の有無を言わせぬ見事なプレーは見ごたえがあるが、タイトル通り二つの顔があってサッカーの天才でありつつ俗物だったという範疇を出ない作りだ。

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