事故物件 恐い間取りの映画専門家レビュー一覧

事故物件 恐い間取り

2012年よりテレビ番組『北野誠のおまえら行くな。』の企画でいわく付き物件に住んできた松原タニシがその体験を綴った『事故物件怪談 恐い間取り』を基にしたホラー。売れない芸人の山野ヤマメは先輩から無茶ぶりされ、殺人事件が起きた事故物件に住み……。監督は、「リング」シリーズや「スマホを落としただけなのに」など数々のサスペンス・ホラーを手がける中田秀夫。事故物件を転々とする芸人・山野ヤマメをKAT-TUNの亀梨和也が演じる。
  • 映画評論家

    北川れい子

    これってどうなの? 劇中で起こる奇っ怪な現象よりも、それを目撃体験する主人公たちの恐怖演技の方がずっとリアルで生々しい、とは。特に死霊たちに囲まれた終盤の亀梨和也の絶叫演技!! 死霊たちよりこっちの方が気になって――。むろん、主人公たちの恐怖もホラー映画のポイントの一つではあるが、原作者だという芸人の存在も全く知らずに観た当方としては、原作者の分身である〈事後物件に住みます芸人〉もお騒がせキャラとしか思えず、なるほど派手に騒ぎまくるのも当然か。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    場所に憑く怨霊を題材とした新作ホラーとして、三宅唱「呪怨:呪いの家」を観たあとではいかにもぬるい。主人公がこの部屋に「住む」ことになるいきさつとそのバックボーンにこそ映画用脚色の幅があるように思うのだが、そこは段取りとして流されるだけで、結局、早々に幽霊側の因縁話で物語を進めざるをえなくなる。TV業界の内幕を丁寧に描写するあたりは現場フェチ・中田秀夫の本領が発揮されるところで、こちらの描写に比重を置いたほうがユニークなホラー映画になったのでは。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    話題性で、という企画。しかしその話題性がさもしく、題の「間取り」も肩透かし。テレビとその業界の軽薄な部分がどんなに社会を蝕んでいるか。原作の性格からしてそこに斬り込む批評性など望むべくもないが、中田監督だ。なにかあるのではと思ったが、まず恐怖シーンの作り方がお粗末。中田監督でこの程度なのかと悲しくなった。何を見るべきか。ファン心理もこめて言うと奈緒と江口のりこだ。ともに超能力的なものをもつ役。その能力をもっとポジティヴに活かしてもらいたかった。

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