誰がハマーショルドを殺したかの映画専門家レビュー一覧
誰がハマーショルドを殺したか
サンダンス映画祭で監督賞を受賞したドキュメンタリー。1961年、コンゴ動乱の停戦調停に向かった当時の国連事務総長ダグ・ハマーショルドの乗ったチャーター機が墜落。長らく原因不明の事故とされてきたこの事件の真相を追ううち、驚愕の陰謀が発覚する。監督は、「ザ・レッド・チャペル」のマッツ・ブリュガ―。
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
世界の覇権国はアフリカを植民地支配し搾取してきた。いわゆる南北問題だ。デンマーク人の映像作家と相棒ヨーランは、アマチュア探偵か調査ごっこ宜しく約60年前の国連事務総長の不審な飛行機事故を追跡していく。手腕や作業はどれもこれも素人臭く笑いを禁じ得ない。しかし後半になると世界の闇の深淵へと一気に引きずり込んでいく。「この物語は世界的な殺人事件か、呆れた陰謀論か」。ドラマもドキュメンタリーも、あらゆる映像とは真実であると同時に妄想でもある。
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フリーライター
藤木TDC
戦慄のドキュメンタリー問題作。NETFLIX作品『ジャドヴィル包囲戦』にコンゴ動乱の転換点として登場する1961年の国連事務総長搭乗機墜落事故は当初から暗殺説が根強く、2015年に始まる国連の再調査は今も続いて米英の非協力が問題視されている。しかし映画の核心はそこでなく、中盤以降のネタバレ厳禁な驚愕展開はセンセーショナルすぎてフェイクに受けとめられかねない。ここで私が真贋を判断するのは難しいが、時局とシンクロしており確実に物議をかもすだろう。
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映画評論家
真魚八重子
観客を煙に巻こうとする技巧が効きすぎて、本筋さえも疑わしく思えてくる作品。ただでさえにわかには信じがたい証言と指摘だけに、ぼんやりとした輪郭で語られると茫洋とした印象を受けてしまう。世紀の発見というより、ヒストリーチャンネルの眉唾物なドキュメンタリーのようで戸惑う。その分、巧みに話をそらしたような、あえて信憑性を追求しない演出は上手く出来ているのだろう。愛嬌のようなものは時々のぞくが、淡々とした進め方でとりつく島がないような。
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