女王トミュリス 史上最強の戦士の映画専門家レビュー一覧

女王トミュリス 史上最強の戦士

紀元前550年頃に実在した、中央アジアの遊牧民マッサゲタイ族の女王トミュリスをモデルにした歴史アクション。人類史上初となる大規模な異民族間の戦いといわれ、当時、世界の半分を征服していたアケメネス朝ペルシアのキュロス大王を破った伝説の戦いを活写。監督は「持たざるものが全てを奪う HACKER」のアカン・サタイェフ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    大掛かりな騎馬隊の合戦シーンでは思わず『ゲーム・オブ・スローンズ』を想起するほどの、モダンで細部まで行き届いたカザフスタン映画界の技術的なレベルの高さにまず驚かされた。史実を基にした作品ということもあるのだろう、ストーリーそのものは悲劇→復讐→悲劇→復讐の単調な繰り返し、キャラクターもフラットで、ヒネリや意外性はほとんどない。しかし、むしろその鷹揚さが、脚本や構成が異常に洗練されすぎた現在のアメリカのテレビシリーズを見慣れた目には新鮮に映る。

  • ライター

    石村加奈

    キュロス2世率いるペルシア軍を破り、史上最強の女傑とも言われた、中央アジアの遊牧民・マッサゲタイ族の女王トミュリスの半生を描いたカザフスタン映画。騎馬たちが土ぼこりを上げる草原の合戦シーンは迫力満点だ。愛する夫子を失い、絶望した時、孤高の女王に、本音を打ち明ける女友だちがいるシーンが印象的だ。一方、歴史的ハイライトである、ペルシア王との戦闘から大勝利に至る描写は意外と淡々としていて、拍子抜けの感も。小さな復讐に囚われぬ、視野の広い映画とも言えるか。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    紀元前550年頃、中央アジアに実在したマッサゲタイ族の女王トミュリス(最強の戦士というよりは知将という印象)と当時の大帝国ペルシアとの戦いを描く。ファンタジーとエロ要素がなく残酷度控えめな『ゲーム・オブ・スローンズ』といった世界観。中世イスラームの哲学者アル=ファーラービーが、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの著書『歴史』に記された史実を自らの言葉で綴っていく、というスタイルで物語は進むのだが、ヘロドトスの視点ではない、というのが面白い。

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