GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生の映画専門家レビュー一覧
GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生
「世界の果ての通学路」のパスカル・プリッソンが、ケニアの小学校に通う94歳のおばあちゃんの姿を追ったドキュメンタリー。多数の孫やひ孫に恵まれ、小さな村で助産師として生きてきたプリシラ・ステナイは、6人のひ孫と一緒に小学校に通い始める。その姿から、貧困や慣習などを理由に、いまだにアフリカに残る教育の問題が浮かび上がる。
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
幼少期に教育の機会を得られず90歳を過ぎて小学校に通うようになった、ケニアの小さな村に住む女性の日常を追うドキュメンタリー。たまに棒読み気味になるセリフっぽい会話や、作品に不似合いな西欧音律のスコアが気になるが、それ以外はナレーションを排した被写体に集中を促す誠実な作りで、とても大事なことが語られている。口を開けば世を憂うことばかり言ってる人は、「いい時代さ。正しい方向に物事が進んでるよ」という彼女の言葉を噛み締めたほうがいい。
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ライター
石村加奈
ひ孫娘たちの手本となるべく、小学校入学を決意した、94歳のゴゴ。寄宿舎生活を送りながら授業を受け、100歳までには初等教育修了試験をパスしたいと神様に祈る、その心意気も若やいでいる。修学旅行で初めて村を出て、初めての旅にはしゃぐ姿は、うんと年下の同級生たちと変わらない無邪気さだ。しかし耳は遠く、目も見えにくくなる老化現象をはね返す「特別なばあさん」は、彼女ひとりの力では生まれない。お年寄りに敬意を払い、同じ歌で盛り上がれる村の文化に支えられている。
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映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
被写体の立ち位置がバッチリのマルチカメラ、アングル違いのカットバックの多用、それらの演出が「ドラマ」過ぎて、そればかり気になってしまった。監督の解説を読むと、時間をかけて被写体の人たちと関係を結んだのでその手法が可能になったということだが、あらかじめ全体像を想定して組み立てていることが“あからさまに”見えるドキュメンタリーをどう捉えるかによるかな、と。もちろん「教育の重要性を訴えたい」という意図は伝わったし、主人公のゴゴは魅力的ではあったが。
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