スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたちの映画専門家レビュー一覧

スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち

ハリウッドで活躍するスタントウーマンたちの素顔に迫るドキュメンタリー。映画史に残るアクションシーンを演じてきたスタントウーマンたちの証言を紡ぎ、日々の鍛錬の様子や彼女たちの歴史を通して、最前線で活躍するプロフェッショナルたちの姿を映し出す。製作総指揮、ナビゲーターは、「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲス。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    上手に演技をこなす役者であればあるほど、それは「役」に徹する「偽物」だ。だとするとスタントは、役者の演技領域の外部に存する「本物」(=現実)を生きていることになる。代役であったはずの彼女たちこそが、劇中唯一無二のリアリティを獲得する。どんな職業でも長年一線を渡ってきた女性ならば誰でも、背景の社会構造や移り変わりと無関係ではいられない。しかし社会に翻弄される関係をよそに、スタント撮影中の彼女たちのあまりにも輝いている生の発露が眩しすぎた。

  • フリーライター

    藤木TDC

    女性スタントの歴史と主張にスポットを当てる題材は派手で趣旨も明快。白人男性優位集団のハリウッドで裏方女性が地位を得てゆく過程は胸が熱くなる。一方で語りの内容を映像素材で対照する編集がうまく機能せず口述場面ばかり続き、近年のドキュメントにありがちな出演者の早口多弁を字幕が訳しきれない課題も残る。「女性ががんばってますよ!」一辺倒な構成にも不足感。P・ヴァーホーヴェンが出てるなら彼の男目線な辛辣発言がほしかった(未使用素材にたっぷりありそう)。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    影武者ゆえに、裏方の中でも特にフィーチャーされずにきたスタントマンの、さらに女性に光を当てた着眼点が素晴らしい。最初期に女優自身がスタントをやっていたことや、女には危険だからと女装した男性にアクションがとって代わられる、極端な状況はフェミニズム的な問題の端的な現れ方だ。内容も多種の話題にわたっていて飽きない。老いて引退したスタントウーマンたちのインタビューが、ちょっと意外な楚々とした落ち着きと、刺激的なスタントへの郷愁が漲っていて胸を突かれる。

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