SNS 少女たちの10日間の映画専門家レビュー一覧
SNS 少女たちの10日間
スタジオ内に造られた子ども部屋で成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録し、児童への性的搾取の実態を捉えたドキュメンタリー。現代の子どもたちが直面する危険をリアルに映し出し、本国チェコでドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録した。共同監督は、チェコで活躍するドキュメンタリー作家のバーラ・ハルポヴァーとヴィート・クルサーク。2020年プチョン国際ファンタスティック映画祭、2020年コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭、2020年ベルゲン国際映画祭、2020年モントリオールニューシネマ映画祭正式出品作品。
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映画評論家
小野寺系
SNSで10代少女を狙う性犯罪予備軍を、逆に“フィッシング”する試みは、おとり捜査ミッションを題材としたTV番組のよう。とはいえ題材が際どいため、配信か映画でなければ公開が難しいのも分かる。どんな人物が子どもを毒牙にかけようとしているか、どのように子どもが騙されるのかのメカニズムを知るのに参考になるのも事実だ。しかし、製作者側も徐々にエスカレートしていき、わざわざダミーのヌード写真を作成して餌に使うなど、一線を踏み越えているのではと感じる部分も。
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映画評論家
きさらぎ尚
SNSの闇は想像していたが、この映画が記録したあられもない映像を見ると、リアル社会の「病み」に不快感MAX、戦慄する。主題はさておき、撮影スタジオに手際よく建て付けられていく少女の部屋のセット。メイクや衣裳により、3人の女優がたちまち12歳の女の子に。撮影用の偽アカウント開設を含め仕組まれたフェイクだったはずが、あらら。見ている間にいつしかなりすました少女によるカラフルなリアリティショーに思え、自分が観客にさせられている気分に。一本取られた。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
現代に生き、インターネットの恩恵を享受している者として児童に対する男性の身勝手な性欲がSNS内にはびこっている事実は認知しているし、この映画の中で起きていることも想像の範囲内には収まっているものの、真正面からその生々しい事象を見せつけられると流石に生理的にキツいものがあり、観客にかような感情を喚起させる映画的意義は疑わないが、合成とはいえ少女の裸の写真を送り変態男を釣り上げる等、リアリティーショーとしてのエンタメ性にはわずか引っかかりを覚える。
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