アフリカン・カンフー・ナチスの映画専門家レビュー一覧

アフリカン・カンフー・ナチス

ヒトラーと東条英機が世界征服を企むという奇想天外なアイデアに基づくカンフー・アクション。第二次世界大戦を密かに生き延びたヒトラーと東條は、ガーナに世界侵略の拠点を築いていた。彼らにカンフー道場を潰された青年アデーは、復讐を誓うが……。在日ドイツ人のセバスチャン・スタインが、ヒトラー役と監督を兼任。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    製作元も配給元もグルになって全篇がツッコミ待ちの作品だが、申し訳ないがそこにツッコミを入れるほど暇ではない――というのは、そもそもB級映画(本作はZ級だが)をB級であるが故に愛でるという感性を昔からまったく持ち合わせていない人間としての個人的なインプレッションだが、こういう作品を持て囃すノリって今もどこかに残っているのだろうか? トランプや立花孝志みたいなのが現実世界に一度侵食してしまった現在、もし残っているとしたら二重にも三重にも時代遅れだ。

  • ライター

    石村加奈

    「ありがとうやで」「せやろがい」等々、うさんくさい関西弁の字幕が、ヒトラーや東條英機というモチーフへの嫌悪感を、巧みにごまかすという意味で、思いの外功を奏している。ヒトラーを自ら演じた、セバスチャン・スタイン監督の迫力にも圧倒される。撮影場所ありきで、ガーナを舞台に繰り広げられていく、柔軟なストーリー展開の端々に、豊かなアイデアの片鱗が光る。主人公に気前よく必殺技を伝授する個性的なマスターたちとのドラマも、もう少し楽しみたかったなあ。次作に期待!

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    明らかに思いつきの設定、おそらく編集を逆算せず撮っている無駄に長いシーンの連続、素人俳優による棒読み演技、カンフーアクションはキレキレ……脱力系B級スタイル、いわゆる「バカ映画」だが、この作風を心から楽しめるセンスが私にはない(人によっては満点だろう)。しかし、監督の個人的な経験に基づく奇想天外な物語が多くの人間を動かし、超低予算と熱意だけで完成させ、ちゃんと劇場公開されるということに夢がある。正しい、理想の自主映画の形だと思う。

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