スーパーノヴァ(2020)の映画専門家レビュー一覧
スーパーノヴァ(2020)
コリン・ファースとスタンリー・トゥッチが共演した愛のドラマ。ピアニストのサムと作家のタスカーは、20年来のパートナー。だが、タスカーが思いがけない病を抱えたことで、かけがえのない2人の思い出と、添い遂げるはずだった未来に暗雲が立ち込め……。メガホンを取ったのは、「愛欲のプロヴァンス」などで俳優として活躍し、これが監督2作目となるハリー・マックイーン。
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
アンドリュー・ヘイ監督を発掘して傑作「WEEKEND ウィークエンド」を世に送り出したトリスタン・ゴリハーがプロデューサー、どちらもゲイのカップルを描いた作品、ということでどうしても比較したくなるのだが、何から何まで真逆の作風なので驚かされた。凡庸なバストショットの切り返しばかりの、あまりにもプレディクタブルなメロドラマ。コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの演技には見るべきものはあるが、いくらなんでも役者に頼りすぎでは?
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ライター
石村加奈
コリン・ファースのピュアな表情に驚かされた。涙が子供のように澄んでいる(スタンリー・トゥッチの推薦で、出演が決まったというエピソードにもグッとくる)。気づけば相手のどこかにふれている、体を預け合う親密さを、ファースとトゥッチが自然に作り出している。二人の愛の物語が、英国湖水地方の美しい自然や壮大な宇宙を背景に静かに、けれど力強く描かれる。寄り引きのドラマチックなカメラワーク、ドノヴァン、カレン・ダルトンからファース(!)まで、音楽も素晴らしい。
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映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
基本、キャンピングカーで旅する長年連れ添った初老の同性カップル(ピアニストと若年性認知症が進行している作家)の会話で成り立つ作品だが、回想シーンがないのに彼らの軌跡を現在の物語と同時進行で感じさせる、演じるC・ファースとS・トゥッチの関係性のリアリティが素晴らしい。身体は存在したまま永遠に別れるか、死をもって永遠に別れるか。残される者と残してしまう者、その葛藤、その選択を、彼らに憑依するように最後まで自分ごととして入り込んで観てしまった。
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