ローラとふたりの兄の映画専門家レビュー一覧

ローラとふたりの兄

俳優としても活躍するジャン=ポール・ルーヴによる長編監督4作目。弁護士のローラには、ブノワとピエールという少々困った2人の兄がいる。ある日、ブノワの3度目の結婚式にピエールは大遅刻してしまい、さらに彼の失礼なスピーチが原因で兄弟喧嘩が勃発する。主人公・ローラを「真実」のリュディヴィーヌ・サニエが、ピエールを「ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走」のジョゼ・ガルシアが、そしてブノアをルーヴ監督自身が演じる。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    とにかくいい人しか出てこない。めんどくさい兄ふたりに、めちゃくちゃ可愛がられてる妹。みんな生きるのがヘタな人たち。優しさが裏返って、相手を傷つけてしまう。ユーモアに包んだ繊細な描写が、心地いい。見落としてしまいそうな小さな出来事を丁寧にすくい取る。兄ふたりの仲の悪さに笑ってしまう。兄弟ってそうだよなと思い出した。仲は悪いけど、どこかに愛情がある。妹に彼氏ができたときの、彼らの反応が良かった。即座に否定してしまうのは、愛情ゆえだよね。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    男女のすれ違いをユーモアたっぷりに描くのを得意とするいかにもフランス的家族ドラマは、どうしてもどこかで見たことあるような感じなのが否めない。が、やはり私はいかにもなフランスっぽいフランス映画が好きなのである。ちょっと困った二人の兄の妹ローラ役を演じたリュディヴィーヌ・サニエはオゾン映画で「焼け石に水」「8人の女たち」での少女役が印象的だった。いつの間にか大人になっていて親戚にでもなったかのような妙な感慨がある。やっぱり笑顔がとびぬけて可愛い。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    あるメカニズムを構築し、その働きを探ることがコメディの醍醐味の一つであるとすれば、ジャン?ポール・ルーヴに欠けているのはそういうコメディであることの自意識である。たとえばエマニュエル・ムレあたりと比べれば、その点は明らかだと思う。ここでは全体の作劇のあり方にせよ、それぞれの逸話や人物の役割にせよ、またそういう一切を成り立たせる数々の要素にせよ、すべてが観客に決まった効果を与えるべく配置されているだけで、それ以上でも以下でもないわけである。

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