ローラとふたりの兄の映画専門家レビュー一覧
-
映画監督/脚本家
いまおかしんじ
とにかくいい人しか出てこない。めんどくさい兄ふたりに、めちゃくちゃ可愛がられてる妹。みんな生きるのがヘタな人たち。優しさが裏返って、相手を傷つけてしまう。ユーモアに包んだ繊細な描写が、心地いい。見落としてしまいそうな小さな出来事を丁寧にすくい取る。兄ふたりの仲の悪さに笑ってしまう。兄弟ってそうだよなと思い出した。仲は悪いけど、どこかに愛情がある。妹に彼氏ができたときの、彼らの反応が良かった。即座に否定してしまうのは、愛情ゆえだよね。
-
文筆家/女優
睡蓮みどり
男女のすれ違いをユーモアたっぷりに描くのを得意とするいかにもフランス的家族ドラマは、どうしてもどこかで見たことあるような感じなのが否めない。が、やはり私はいかにもなフランスっぽいフランス映画が好きなのである。ちょっと困った二人の兄の妹ローラ役を演じたリュディヴィーヌ・サニエはオゾン映画で「焼け石に水」「8人の女たち」での少女役が印象的だった。いつの間にか大人になっていて親戚にでもなったかのような妙な感慨がある。やっぱり笑顔がとびぬけて可愛い。
-
映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
あるメカニズムを構築し、その働きを探ることがコメディの醍醐味の一つであるとすれば、ジャン?ポール・ルーヴに欠けているのはそういうコメディであることの自意識である。たとえばエマニュエル・ムレあたりと比べれば、その点は明らかだと思う。ここでは全体の作劇のあり方にせよ、それぞれの逸話や人物の役割にせよ、またそういう一切を成り立たせる数々の要素にせよ、すべてが観客に決まった効果を与えるべく配置されているだけで、それ以上でも以下でもないわけである。
1 -
3件表示/全3件