ステラ SEOUL MISSIONの映画専門家レビュー一覧

ステラ SEOUL MISSION

「あの日、兄貴が灯した光」のクォン・スギョンと「エクストリーム・ジョブ」の脚本家ペ・セヨンがタッグを組んだアクションコメディ。ボスのソ社長からスーパーカーを奪った犯人と疑われたヨンベは、父が遺した古い自動車ステラと共にその行方を追うが……。出演は「殺人の輪廻」のソン・ホジュン、「ソウル・バイブス」のイ・ギュヒョン、「イカゲーム」のホ・ソンテ。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    ポンコツ中古車版「ナイトライダー」といった趣の一本。コメディ作品ゆえある程度仕方ない部分はあるのだが、ヤクザに追われる主人公たちからは終始全く緊迫感が感じられず。ヤクザ側、特に社長とナンバー2の顔と佇まいが魅力的だっただけに、追跡劇がうまく機能していなかったのがなおさら惜しい。ではコミカルな演出が楽しめたのかというとそちらも振るわず。笑いのセンスが合わず、クスリともできないまま映画が終わってしまった。ベタな親子愛に帰着する展開も手垢にまみれたもの。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    タイトルにもある、父親が残した1987年型“ステラ”を一番の相棒として、そのオンボロでとても遅いステラに乗りながら、追っ手からどう逃げ切り、裏切り者を追うのかという、スローなカーチェイスを描くという志には感心する。しかしステラのことを描こうとするあまり、しばしば挟まれる父親との思い出は、それこそむやみに映画がスローになってしまい、最後まで乗り切れなかった。クライマックスのオチもステラの不思議な力に頼りすぎており、なんでもあり感は否めない。

  • 文筆業

    八幡橙

    本当に今年の映画か訝るほど、20年ぐらい前の韓国活劇のノリを見事踏襲した一本。そう「風林高」に代表されるキム・サンジン映画や、キム・ジフンのデビュー作「木浦は港だ」などに見る、泥臭さとベタな笑いをだだ漏らしにして、田舎町でチンピラが暴れ回り、最後はほろっと人情で〆る、あの感じ。それ自体は好物だが、本作の場合、旧式の“ステラ”を介し亡き父と距離を縮める泣かせ部分が本筋と溶け合い切らずに併走を続け、結果、観客置いてけぼりで走り切った印象が。

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