劇場版 緊急取調室 THE FINALの映画専門家レビュー一覧

劇場版 緊急取調室 THE FINAL

捜査一課の取調べ専門チーム・緊急事案対応取調班、通称キントリの活躍を描くTVドラマ『緊急取調室』シリーズ完結となる劇場版。戦後初の40代の内閣総理大臣・長内洋次郎が暴漢に襲われた。拘束された被疑者・森下の取調べのため、キントリメンバーが再集結する。取調官・真壁有希子役の天海祐希を筆頭に、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、大倉孝二、塚地武雅らドラマ版レギュラー陣が続投。監督は本シリーズを始め、数々のTVドラマを手がけてきた常廣丈太。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    民放ドラマの映画化は、設定の風呂敷だけが広がり、普段の絶叫演技がさらに強調されて目も当てられない代物になりがちだが、本作は一味も二味も違う。取調室という限定された空間でのクライマックスに向けて、上質なサスペンスが持続し、その過程でドラマ未見者に向けても過不足なく各登場人物の背景が描かれていく。本作が長篇初演出となったテレビ朝日の常廣丈太には映画を撮り続けてほしい。総理大臣役の市川猿之助、本筋には絡まない杉咲花、両者への演出が特に見事だった。

  • 映画評論家

    北川れい子

    現実に起こる政治家、権力者、時代の寵児や著名人などの犯罪、及びスキャンダルは、こちらは痛くも痒くもない最高の気張らしである。このドラマシリーズを観るのはこの劇場版が初めてなのだが、取り調べチームが関わる疑惑が、かなり現実の事件や騒動と重なるところがあるのも娯楽映画として楽しめる。チームのメンバーの個性や役割が分かりやすいのも安心して観ていられるし。証拠を積み上げた上での最後の難関、天海祐希と市川猿之助の対決は、両者、さすが余裕のいい勝負。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    ドラマ「緊急取調室」だろうがドラマ「めんたいぴりり」だろうがマーベルコミック原作映画だろうが、そこに一本の映画として出てくるなら変にご存知ですよねという雑さを見せてほしくない。その傲慢さは与党と同じで面白くない。だが人物や作品世界の構築、背景の蓄積の良さもたしかにある。最大の取調べ相手をもってきてファイナルとしたのも良いし、首相が人殺しだったのも面白い。首相襲撃犯有理というのも。だが罪を問いきれず、強権による武器使用を是としたのはダメだった。

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