光をみつける ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージの映画専門家レビュー一覧

光をみつける ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ

    全盲のヴァイオリニスト、穴澤雄介を追ったドキュメンタリー。作曲、編曲も手がけながらライブ活動を行う穴澤。指で触る点字の楽譜。全てのメロディを覚えなければ弾けないハンデ。明るく前向きな人柄を生かして、講演やYouTubeなどでも活躍する穴澤の人生に迫る。ナビゲーターとして元大相撲力士の舞の海秀平が出演。監督は「トパーズ(1992)」のプロデューサーを担当した永田陽介。
    • 映画・音楽ジャーナリスト

      宇野維正

      穴澤氏がここまで辿ってきた病だけにとどまらないハードな人生の歩みと、それを感じさせない柔和な語り口には感じ入る点も多かったが、もちろんそれと映画としての評価は別。サブタイトルに「メッセージ」とあるが、自分が考える映画の役割に――とりわけドキュメンタリー作品ならばなおさら――「メッセージ」は含まれない。揚げ足をとっているように思われるかもしれないが、作り手のそうした独りよがりな姿勢は、行き当たりばったりな構成、冗長なシークエンスなどに如実に表れる。

    • 映画評論家

      北川れい子

      ポジティブ思考で、かつサービス精神に富んだ通称“アナちゃん”。黒のサングラスにウェスタン調の衣裳も様になっていて、常に笑顔を絶やさず、カメラや相手の声に的確に顔を合わせて話をする。そんな穴澤雄介のワンマン・ドキュメンタリーで、演奏活動もさることながら、五感を使ってのさまざまな挑戦!も賑やかで楽しい。むろん彼がハンデを自分のキャラクターにして、いまの立ち位置を得るまでには、それなりの野心や計算もあったのだろうが、それらを含め、大した人物だ。

    • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

      千浦僚

      いちいち言及された事柄をフリー素材みたいなインサート映像で補強しないで。その無闇な親切は美学の放棄。いただけない。ただ、教則もの映像とかテレビ番組ふうドキュメンタリーも、主題や被写体の魅力があれば私は面白く観る。穴澤氏の佇まいと発想、人生哲学が面白い。穴澤氏と舞の海の対話でふたりがポジティブになるきっかけがそれぞれの身近にいた小児難病患者と同級生の死だったという話が出た。わかる。似た体験と感慨あり。死者の無念以前を生きる我々にいつも光はある。

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