ネクスト・ゴール・ウィンズの映画専門家レビュー一覧

ネクスト・ゴール・ウィンズ

世界最弱のサッカー代表チームと言われた米領サモア代表の実話をベースに「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ監督が映画化。W杯予選史上最悪の0-31の大敗を喫した米領サモアチームに、破天荒な鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが就任するが……。出演は、「X-MEN」シリーズのマイケル・ファスベンダー、「ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル」のオスカー・ナイトリー、「透明人間」のエリザベス・モス。
  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    序盤、監督招聘の話を聞いた選手のひとりが「白人の救世主はごめんだ」と言う。実際この映画はその後、「白人の救世主」の話にはならないよう細心の注意を払うだろう。救われるのはサモアの人々ではなく、白人監督のほうなのだ。サモアの自然と文化、サッカー協会会長らと並び、彼の心をとりわけ解きほぐすのが「第三の性」を持つ選手。男女間だけでなく、白人文化と現地文化のあいだも往来して垣根を取り払う。星の数は抑え気味にしてますが、楽しくて愛らしくてとても励まされる映画。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ監督による、サモアの世界最弱サッカーチームがW杯予選で起こした奇跡の実話の映画化。設定としては「がんばれ!ベアーズ」と同じ熱血コーチによる弱小チーム成功話だが、南の島ならではの脱力したムードで描く。「ジョジョ?」でそのギミック力を誇ったワイティティはカメラと編集のアンサンブルで観客を引っ張ろうとするのだが、どうもあざとさとギャグのベタさが鼻につく。スポーツ系ギャグなら「アメトーーク!」運動神経悪い芸人の方が面白い。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー

    杉野希妃

    米領サモアの最弱サッカーチームの実話で爽快な逆転劇。新コーチ役、ファスベンダーのシリアスな佇まいとチームメンバーのおおらかな芝居にギャップがあり、名優ファスベンダーが浮いていて演出の狙いだとしても違和感。ジョークの数々や初めと終わりにカメオ出演する監督のコメディアンぶりに、笑いを強要されているような感覚に陥ってしまった。勝ち負けよりも大切なのは楽しむことという天真爛漫なテーマをそのまま体現した作風に、軽快さと軽薄さを行き来する危うさも感じた。

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