モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーンの映画専門家レビュー一覧

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン

不穏な月が微笑むネオンカラーの街ニューオーリンズを舞台にしたエキセントリックでミステリアスな少女モナ・リザの逃走劇。モナ・リザを演じるのは「バーニング 劇場版」の韓国人俳優チョン・ジョンソ。シングルマザーのダンサー役に「あの頃ペニー・レインと」のケイト・ハドソン。2人を追いかける警官に人気コメディシリーズ『ジ・オフィス』のクレイグ・ロビンソン。監督は長編2作目の「マッドタウン」でヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞したアナ・リリ・アミリプール。長編第3作目となる本作では「ミッドサマー」のカメラマン、パヴェウ・ポゴジェルスキと組み、ポップでダークなおとぎ話を作り上げた。
  • 文筆業

    奈々村久生

    「バーニング」でデビューしたチョン・ジョンソは、猟奇的な怪演で度肝を抜いた「ザ・コール」の監督との再タッグで「バレリーナ」(Netflix)を発表したが、私生活でもパートナーであるイ・チュンヒョン監督はジョンソのハードな面ばかりを強調。モナ・リザもその延長線上にあるが、アメリカに生きるアジア系女性がシングルマザーとその子供を巻き込む、弱き者たちのしたたかな共犯関係を描いたアナ・リリ・アミルプール監督の魔術的な演出がポップで痛快。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    口ずさみたくなるロックの歌詞をそのまま脚本にしたみたいな映画。「寡黙で神秘的な東洋娘」とか「よい黒人」とかは類型なんだが、新しいことは特に何もやってないんだが、とにかく人の顔がいい。チョン・ジョンソの顔を見てるだけで最高だし、脇役も子役も全員いい。お金かけてないのに画ヅラもいい。あと、いかにもなストーリーだったのに人が一人も死んでない。これはなにげにすばらしいことではなかろうか。こういうのでいいんだよ、こういうので。ていうか、こういうのがいいんだよ。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    韓国人俳優チョン・ジョンソが良い。気の強さと無垢であることが無言で同居し、クールな表情をしていてもチャーミング。「ハスラーズ」のような女同士の連帯は、私欲の前では吹き飛ぶが、母に代わる飛行場での子どものシークエンスは、チケットの名前から自己犠牲まですべていとおしく完璧。モナが何者かわからず、人を操る超能力ゆえに、精神病院に12年も入っていた経験は重い。だからこそTシャツ1枚の違いで楽しい。彼女の新たな人生の始まる赤い月夜のフライトはワクワクする。

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