オールド・フォックス 11 歳の選択の映画専門家レビュー一覧

オールド・フォックス 11 歳の選択

ホウ・シャオシェンが製作を務めたヒューマンドラマ。台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエは、いつか自分たちの家と店を手に入れることを夢見ながら、倹約生活を送っていた。そんなある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。出演は「親愛なる君へ」のバイ・ルンイン、「1秒先の彼女」のリウ・グァンティン、「ほつれる」の門脇麦。監督はホウ・シャオシェン作品で助監督を務め、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐシャオ・ヤーチュエン。
  • 俳優

    小川あん

    数多くの傑作が生まれている台湾。独特の風習と生活が撮影に大きな影響をもたらすはずが……本作にはその魅力が感じられない。生と死、男と女、経済格差などの要素を扱っているが、表面から掘り下げられていない。その上、俳優の芝居もポーズになってしまっていて伝わらない。長い時間をかけてゆっくりと抉っていく人間の性を見たかった。少年の将来像がチープな演出になっていたのもがっかり。チェン・クンホウ「少年」を想う。侯孝賢は脚本に言及しなかったのかしら?

  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    ファーストショットのあまりの見事さにいきなり度肝を抜かれ、美しい画面のテキパキした連鎖にドキドキし、帰宅したリウ・グァンティンがサックスで〈恋に落ちた時〉をしっとりと演奏しはじめるに至ってはもう身もだえしそうにたまらない。この導入部分で興奮しすぎたせいか、いまいち加速していかないかのように感じてしまったけれど、その後も充実した画面が頻出、ノスタルジックなスコアも素晴らしい。ある種のふてぶてしさをたたえた子役俳優の演技を含め、全方面において立派な仕事の映画。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    バブル期の台北の少年の成長を描くドラマ。レストランで働きながらお金を貯めて理髪店を開こうとする父を尊敬する純朴な少年が、バブル崩壊の中で「腹黒いキツネ(オールド・フォックス)」と呼ばれる地主のタフな人生哲学に惹かれていく。清貧潔白な父を支えるか、強烈な拝金主義に身を委ねるか。少年の成長譚として普遍のテーマを台湾ならではのウォームな質感で包み、丁寧なリアリズムで描く。共感する物語だが映像的面白みに欠けるのが惜しい。

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