ドライブアウェイ・ドールズの映画専門家レビュー一覧
ドライブアウェイ・ドールズ
兄ジョエルと一緒に“コーエン兄弟”として「ノーカントリー」「ファーゴ」などを生み出したイーサン・コーエンによる初の劇映画単独監督作。日々の生活に行き詰まりを感じるジェイミーとマリアンは、車の配送(ドライブアウェイ)をしながらアメリカ縦断の旅に出るが、謎のスーツケースをめぐりギャングに追われる。出演は「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」のマーガレット・クアリー、『ブロークン・ハート・ギャラリー』のジェラルディン・ヴィスワナサン、「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」のビーニー・フェルドスタイン。
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俳優
小川あん
B級映画のオマージュをベテランの映画監督が全力で作ったらどうなるか? それはもう、楽しいが炸裂。謎の男が狙われる最初のシークエンスで、カメラアングルとポジション、カット割り、編集の諸々で、イーサン最高だね! 突然現れるサイケな世界観もイケイケGOGO! そんな無茶苦茶なロード・ムービーはきちんと二人が結ばれる道のりであった。愛を育んだキスシーンは色っぽくドキドキした。ラブシーンは小ネタで笑わせられる。クィアのパートナーを偏向しない描き方が気持ちいい。
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翻訳者、映画批評
篠儀直子
追いかけてくるギャングたちの描き方や、彼らと主人公ふたりが出くわしてからの展開にもうひと工夫ほしいけど、どこまでもくだらないたわいなさが最高なロードムービー。でも芯にあるのはロマンティック・コメディのエバーグリーンなフォーマット。「メリーに首ったけ」をみんなでニコニコしながら観ていた記憶が思い出される。マーガレット・クアリーとジェラルディン・ヴィスワナサンがふたりともすごく魅力的で、今後の活躍にますます期待大。クアリーがお母さんそっくりなのにもしみじみ。
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編集者/東北芸術工科大学教授
菅付雅信
コーエン兄弟のイーサンの初単独監督作。レズビアンの女性二人がアメリカ縦断ドライブする中で犯罪に巻き込まれるコメディ。ちょい役のマット・デイモン以外はスターキャストはなく、徹底的にB級路線でコーエン兄弟映画から芸術性を引いてくだらなさを倍増した仕上がり。「それを意図してるんだよ!」という監督の声が聞こえそうだが、どこかしらインテリのB級ごっこ感がプンプン漂ってくるので、本気のB級映画のほうがずっと楽しめる。兄弟監督は単独では成功しないというジンクスがここにも。
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