HOW TO BLOW UPの映画専門家レビュー一覧

HOW TO BLOW UP

スウェーデンの気候変動学者アンドレアス・マルムのノンフィクション『パイプライン爆破法 燃える地球でいかに闘うか』を原作に、石油パイプライン爆破に挑む若い環境活動家たちの姿を描いたスリラー。米国ではFBIが「テロを助長する」と警告した話題作。出演は『マーベル ランナウェイズ』のアリエラ・ベアラー、「アメリカン・ハニー」のサッシャ・レイン。
  • 文筆業

    奈々村久生

    過激な環境テロで加害企業に一矢を報いようとする者たち。緊迫感を煽るように延々と流れ続ける音楽がかえって集中力を疲弊させる。メンバーの動機は全員の個人的な怒りや悲しみに基づき、社会活動と言うには甘く、組織的な犯行としての周到さにも欠け、未熟な寄せ集め集団の幼稚な犯罪劇になっているのが悲哀を誘う。犯人が何らかの被害者である場合、首謀者が英雄になってしまうと本質がロマンチシズムにすり替わってしまうため、リーダーのドヤ顔が散らつくラストは極めて後味がよくない。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    スーパー戦隊み、と言って不謹慎なら「七人の侍」みがあった。脚本に凝りすぎずバババッと書いちゃって撮った感じも、低予算だから撮りかたをいろいろ工夫してるのも、終わりかたも、めちゃめちゃ良い。こんな話をこんな面白い映画にされては国家権力や大企業は困っちゃうねえ。こっちとしてはアジア人を一人入れといてくれると(金持ち坊ちゃんを中国か韓国か台湾か日本からの留学生にするとか?)さらにもっと楽しめたかもと思ったけど、そこまでやらんでもいいか。とにかく面白かった!

  • 映画評論家

    真魚八重子

    破片のような個々の人々が、ある時点で集合し力が結実して何かが起こる。それがテロリズムであることが、この計画に携わる者たちと、石油会社による環境汚染の関係性で明らかになっていく。計画はスマートで、若者たちは危険だが練りに練った計画が展開する。不毛に終わらず、過激すぎない目的を掲げた正義感に基づくテロリズム。こういったテロを描いた映画が少ないと気づかされ、個々の若者たちの役割分担が鮮やかな脚本に唸る。率先した自己犠牲など身を切る思いに揺さぶられた。

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