三池崇史 ミイケタカシ

  • 出身地:大阪府八尾市
  • 生年月日:1960/08/24

略歴 / Brief history

【低予算から大作までこなす現代プログラム・ピクチャー職人】大阪府八尾市の生まれ。大阪工業大学付属高校を卒業後、たまさかラジオで募集を聞いた横浜放送映画専門学院(現・日本映画学校)に入学する。しかし授業自体はサボっていたところ、学校関係者の撮影応援に駆り出されて助監督となった。主に映画からテレビ業界に降りてきた監督たちにつき、『闇を斬れ』『ハングマン』などドラマ作品の助監督を担当。一方で野田幸男、恩地日出夫、今村昌平らの映画作品にもつく。折しもOV(いわゆるVシネマ)の興隆期であり、急遽代役登板を要請されて1991年のOV『突風!ミニパト隊/アイキャッチ・ジャンクション』で監督デビュー。そのままOV作品を連作するうちに、同規模同種の作品が劇場でも公開されはじめ、95年のやくざ映画「第三の極道」が劇場デビュー作となった。90年代はOV・劇場公開作を年2~3本ペースで手がけ、徐々に劇場作の割合を増やし約30本を監督。96年の「極道戦国志・不動」はのちに海外の映画祭で評価され、98年の「中国の鳥人」はキネマ旬報ベスト・テン入りを果たす。小規模作品から全国公開作まで、ジャンルを問わず間断なく撮り続け、99年の「DEAD OR ALIVE/犯罪者」でカルト人気が決定的に。2000年代も同様に多作を続け、「妖怪大戦争」(05)などの娯楽大作も交えて監督作は70本を超えた。「オーディション」(00)、「殺し屋1」(01)、「カタクリ家の幸福」(02)、OV『牛頭』(03)などを海外映画祭に出品、米国に招かれ「インプリント/ぼっけえ、きょうてえ」(05)を撮り、「クローズZERO」シリーズ(07・09)や「ヤッターマン」(09)を大ヒットに導くなど、八面六臂の活躍を続けている。【量産で際立つ先鋭的暴力演出】経歴上は撮影所システム崩壊後の映画学校出身監督となるが、実情は純粋な現場叩き上げであり、Vシネ・バブル期の過度な需要の落とし子と言えよう。元来シネフィルではなく、正統に映画技術を学んでもいない実態を自認し、「仕事は来た順に請ける」と公言する。その言葉通り、OV規模の低予算映画から大作まで多彩なジャンルを休みなく手がけ、いずれも製作状況ともども破綻なく一定水準以上の作品を仕上げることに定評がある。監督作には低予算のヤクザ映画・活劇の割合が多く、過剰な演出が似合ったこのジャンルに秀作も多い。その暴力描写は時に残虐を極めつつギャグと見紛うほどに暴走、リアリズムを超越した映画空間を作り出して、一部のファンから熱く支持されている。98年には米『TIME』誌で、期待される非英語圏の監督第10位に選ばれ、07年には「オーディション」が同誌ホラー映画ベスト25の一本に選出されるなど、国内の職人扱いに比して海外では作家的評価が一段と高い。近年は全国公開作を中心に手がけ、ヒットメーカーの仲間入りを果たした。

三池崇史の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男

    制作年: 2025
    第6回新潮ドキュメント賞受賞、福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫刊)を三池崇史監督が映画化。小学校教諭・薮下誠一は、保護者・氷室律子に児童・氷室拓翔への体罰で告発される。これを嗅ぎつけた週刊誌記者・鳴海は実名報道に踏み切り、記事は世間を震撼させる。出演は「カラオケ行こ!」の綾野剛、「蛇の道」の柴咲コウ、「怪物の木こり」の亀梨和也。
  • BLUE FIGHT ~蒼き若者たちのブレイキングダウン~

    制作年: 2025
    1分1ラウンドで最強を決める格闘技イベント・ブレイキングダウンを題材にした三池崇史監督による青春アクション。少年院で知り合ったイクトとリョーマが、ブレイキングダウンのリングを目指す。ブレイキングダウンを設立した元総合格闘家・朝倉未来の自伝『路上の伝説』から着想を得ている。朝倉未来やブレイキングダウンCOOを務める起業家・溝口勇児がエグゼクティブプロデューサーとして参加。主演は、総勢2,000人が参加したオーディションを経て選ばれた木下暖日と吉澤要人。
  • チェイン・リアクションズ

    制作年: 2024
    トビー・フーパー監督のバイオレンスホラーの傑作「悪魔のいけにえ」(1974)が後世に与えた影響を探るドキュメンタリー。監督はアレクサンドル・O・フィリップ。出演はスティーヴン・キング、三池崇史、アレクサンドラ・ヘラー=ニコラスほか。2024年10月28日より開催の第37回東京国際映画祭(2024)企画「ワールド・フォーカス 第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF」にて上映。
  • りりかの星

    制作年: 2023
    突然ストリッパーになりたいと言い出した高校生の娘と父親の葛藤と和解をサイレントで描く短編映画。父と二人暮らしの娘・萌が突然ストリッパーになりたいと言い出し、父・泰造は激しく動揺する。眠れぬ夜を過ごす泰造は女体の胎内にも似た異界に誘われ……。出演は、「月の満ち欠け」など監督として知られる廣木隆一、「農家に嫁いだ女 禁断の収穫」の水戸かな。映画評論家・塩田時敏の監督デビュー作。
  • 怪物の木こり

    制作年: 2023
    第17回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した倉井眉介による同名小説を原作に、三池崇史監督が映画化。斧で頭を割って脳を奪い去る連続猟奇殺人事件が発生。次の標的として弁護士・二宮彰が狙われるが、彼は殺人鬼を上回るほどの冷血非情なサイコパスだった。出演は「事故物件 恐い間取り」の亀梨和也、「地獄の花園」の菜々緒、「ハケンアニメ!」の吉岡里帆。
  • 土竜の唄 FINAL

    制作年: 2021
    監督・三池崇史×脚本・宮藤官九郎×主演・生田斗真による「土竜の唄」シリーズ3作目にして完結編。まっすぐで熱すぎる警察官・菊川玲二は、潜入捜査官“モグラ”に任命され、日本最凶の組織へ送り込まれる。その目的は組織のドン・轟周宝を挙げることだった。堤真一、仲里依紗、岩城滉一といったレギュラー陣が引き続き出演するほか「孤狼の血 LEVEL2」の鈴木亮平が新たに参加。
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