浅野忠信 アサノタダノブ

  • 出身地:神奈川県横浜市
  • 生年月日:1973/11/27

略歴 / Brief history

神奈川県横浜市の生まれ。本名・佐藤忠信。1988年、オーディションに合格して、TBS『3年B組金八先生』の第3シリーズに生徒役のひとりでレギュラー出演し、俳優デビュー。90年の松岡錠司監督「バタアシ金魚」で筒井道隆演じる主人公のライバル・ウシ役を演じて、映画初出演を飾る。以後も、木村淳監督「あいつ」91、大林宣彦監督「青春デンデケデケデケ」92、滝田洋二郎監督「眠らない街・新宿鮫」93、竹中直人監督「119」94などに出演。95年の是枝裕和監督「幻の光」では、江角マキコ演じるヒロインと結婚するが突然自殺してしまう夫・郁夫に扮する。岩井俊二監督がフジテレビで撮った深夜ドラマで、のちに劇場公開もされた『FRIED DRAGON FISH』93では、時価数千万のドラゴンフィッシュの行方を追う女オペレーター役の芳本美代子と心を通わせる孤独なテロリストの青年・ナツロウ役で出演。96年公開の岩井監督「PICNIC」でも、病院の塀の上を伝って“世界の終わり”を探す旅に出る心を病んだ青年・ツムジ役で不思議な魅力を発揮する。この作品で共演した歌手のCharaと95年3月に結婚(09年離婚)。また、この96年は青山真治監督のデビュー作「Helpless」、井坂聡監督「[Focus]」と主演映画が相次ぎ、飛躍の年となった。俳優活動の初期はNHK『春の一族』93、『命捧げ候・夢追い坂の決闘』96、『翔ぶ男』98、TBS『バスガイド愛子』93・94、日本テレビ『麻酔』94などテレビドラマにも出演していたが、テレビの製作サイクルが肌に合わず、やがて映画に専念するようになる。石井聰亙監督「ユメノ銀河」97、庵野秀明監督「ラブ&ポップ」98などの助演を経て、石井輝男監督「ねじ式」98に主演。石井克人監督「鮫肌男と桃尻女」99では、一億円を横領し偏執的な叔父から逃れてきたトシコを連れて逃亡する鮫肌黒男をスタイリッシュに演じる。この99年には、内戦の激化する70年代のカンボジアで消息を絶った実在の戦場カメラマン・一ノ瀬泰造の生涯を描いた五十嵐匠監督「地雷を踏んだらサヨウナラ」で、毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。同年の大島渚監督「御法度」では、松田龍平演じる新撰組の美貌の新人隊士に男色を教える田代彪蔵に扮した。翌2000年の石井聰亙監督「五条霊戦記」では平家の武者から鬼と恐れられる狂気の義経を演じ、「御法度」と併せて報知映画賞助演男優賞に輝く。その後も、是枝裕和監督「ディスタンス」01では無差別殺人を犯したカルト教団の元信者役、相米慎二監督の遺作となった「風花」01では小泉今日子演じる風俗嬢の故郷・北海道への旅に同行する謹慎中のエリート官僚に扮し、酒に溺れる情けない一面や旅の中で芽生える恋心をリアルに表現。三池崇史監督「殺し屋1」01では、ただ痛めつけられたいがために殺し屋イチを追うマゾヒストのヤクザ・垣原を怪演した。さらに、北野武監督「座頭市」03の座頭市と死闘を繰り広げる用心棒役、黒沢清監督「アカルイミライ」03の工場長を殺害し自殺する青年・守役などで存在感を発揮する一方、04年には「TORI」で初監督もつとめる。山田洋次監督「母べえ」08の反戦思想を持つ夫が検挙され悲しみにくれる吉永小百合ら一家の支えとなる青年役、木村大作監督「劒岳・点の記」09の日本地図を完成させるため前人未到の雪山に命がけで挑む測量手・柴崎芳太郎役、根岸吉太郎監督「ヴィヨンの妻・桜桃とタンポポ」09の酒に溺れて借金と浮気を繰り返す無頼の作家・大谷役など、近年はメジャー系の作品でも好助演が続き、危険なアウトローから普通の男まで見事に演じ分ける実力派俳優としての地位を不動のものとした。また、香港映画界の名カメラマン、クリストファー・ドイルが監督した「孔雀」99などを皮切りに海外でも多く活躍している。タイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督「地球で最後のふたり」03に自殺志願の青年・ケンジ役で主演し、ヴェネチア国際映画祭でコントロコレンテ部門の主演男優賞を受賞。台湾の侯孝賢監督が日本で撮った「珈琲時光」04などを経て、ロシアのセルゲイ・ボドロフ監督「モンゴル」07では若き日のチンギス・ハーンを演じ、作品自体も米アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされるなど注目を集めた。11年、ケネス・ブラナー監督「マイティ・ソー」に主人公をサポートする三銃士のひとり、ホーガン役で出演し、ハリウッド進出も果たす。

浅野忠信の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 「SHOGUN 将軍」エミー賞受賞記念上映 第一話、第二話

    制作年: 2024
    真田広之がハリウッドで製作したディズニープラス配信のオリジナルドラマシリーズの時代劇。第76回エミー賞のドラマシリーズ部門にて、作品賞、主演男優賞(真田広之)、主演女優賞(アンナ・サワイ)など最多18部門を受賞したことを機に、第一話と第二話を期間限定で全国の劇場にて公開。原作は、1980年にもアメリカで実写ドラマ化されたジェームズ・クラベルのベストセラー小説「将軍」。エグゼクティブプロデューサーに「トップガン マーヴェリック」のジャスティン・マークス。主人公の虎永を真田広之が演じ、「説得」「レディ・マクベス」のコズモ・ジャービスがジョン・ブラックソーン(後の按針)、「ワイルド・スピード ジェットブレイク」のアンナ・サワイが通訳の鞠子に扮した。そのほか、浅野忠信、平岳大、西岡德馬らが出演。陰謀と策略が渦巻く SHOGUNの座を懸けた戦国スペクタクルが、大スクリーンで展開する。
  • MIRRORLIAR FILMS Season6

    制作年: 2024
    伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースするクリエイター育成・発掘の短編映画プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」第6弾。小栗旬が「シュアリー・サムデイ」以来約13年ぶりに監督した「1/96」、「ウルヴァリン:SAMURAI」に出演した岡本多緒が企画・監督・脚本・出演に挑んだ「サン・アンド・ムーン」、2023年第2回日本ホラー映画大賞にて株式会社闇賞を獲得した鬼木幸治監督作「FAAAWWW!!!」、浅野忠信の「R246 STORY ~224466~」以来約15年ぶりの監督作「男と鳥」、写真家・映像作家の増田彩来監督の実体験に基づいた「カフネの祈り」の、公募作品3作を含む全5作品を収めたオムニバス。秋田県秋田市の企業版ふるさと納税制度を活用しており、制作や上映、映像制作ワークショップなどに市民や地域の学生が参加。「1/96」と「男と鳥」は秋田市で撮影された。2024年第19回札幌国際短編映画祭特別プログラム上映作品。
  • レイブンズ

    制作年: 2024
    代表作『鴉』などで世界の写真史に名を残す伝説の写真家・深瀬昌久と、彼を支えた妻・洋子の愛を描くラブストーリー。写真に取り憑かれた天才の狂気と純粋さ。やがて深瀬が抱える闇は、”鴉の化身”として転生。洋子は、深瀬を闇堕ちから守ろうとするが……。出演は『SHOGUN 将軍』の浅野忠信、「由宇子の天秤」の瀧内公美。監督は「イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語」のマーク・ギル。
  • かなさんどー

    制作年: 2024
    お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリとしても活躍する照屋年之監督が、「洗骨」に続いて沖縄を舞台に、生と死の尊厳をオリジナルストーリーで映画化したヒューマンドラマ。実花は、母・町子が最期のときにかけた電話に出なかった父・悟のことをずっと拒絶していた。だが、悟の命が危ないと知らせを受け、しぶしぶ故郷の沖縄県伊江島に帰る。出演は、ドラマ『光る君へ』の松田るか、「湯道」の堀内敬子、ドラマ『SHOGUN 将軍』の浅野忠信。トロント日本映画祭2024、ハワイ国際映画祭正式出品作品。
  • 箱男

    制作年: 2024
    ダンボールを頭から被り、一方的に世界を覗き見る“箱男”になろうとする男を描いた安部公房の同名小説を「almost people」の石井岳龍監督が映画化。1997年に製作が決定するもクランク・イン前日に撮影が頓挫していたが、27年越しに実現した。出演は、「GOLDFISH」の永瀬正敏、「モータルコンバット」の浅野忠信、「ひとつの空」の白本彩奈、「せかいのおきく」の佐藤浩市。第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門正式出品作品。
  • 湖の女たち

    制作年: 2024
    吉田修一による同名小説を「日日是好日」の大森立嗣監督・脚本で映画化。湖畔の介護施設で百歳の老人が殺された。事件を追う若手刑事・圭介とベテランの伊佐美。週刊誌記者・池田が過去の事件を探るなか、圭介は取り調べで出会った介護士・佳代と密会を重ねてゆく。出演は「旅猫リポート」の福士蒼汰、「夜、鳥たちが啼く」の松本まりか、「あの娘は知らない」の福地桃子。