遠野凪子 トオノナギコ

  • 出身地:神奈川県
  • 生年月日:1979年11月22日

略歴 / Brief history

神奈川県の生まれ。本名の“青木秋美”の名で子役から活動を始め、NHK『ある時は妻』89、フジテレビ『炎の旅路』90、『素晴らしきかな人生』93、テレビ朝日『鳥人戦隊ジェットマン』91などのテレビドラマに出演。1991年の「花のズッコケ児童会長」で映画デビューも飾る。中島丈博監督「おこげ」92、相米慎二監督「お引越し」93などを経て、94年、テレビ朝日『嫁の出る幕』にレギュラー出演した時から芸名を“遠野凪子”と改名する。NHK大河ドラマ『八代将軍・吉宗』95、TBS『未成年』95などに出演したのち、99年のNHK連続テレビ小説『すずらん』のヒロイン・常盤萌役に抜擢。さらに、熊井啓監督が松本サリン事件の真実に迫った「日本の黒い夏[冤罪]」01で、事件のドキュメンタリーを作るために関係者に取材していく女子学生役で助演し、注目を浴びる。続いて熊井監督が黒澤明の遺稿脚本を元に、山本周五郎の小説を映画化した時代劇「海は見ていた」02に、ヒロインの岡場所の遊女・お新役で主演。本当に男に惚れてはいけないと知りながらも、真っ直ぐに自分の純情を傾けていく一途な遊女を、ヌードも辞さずに体当たりで演じ、熊井監督の期待に応えた。しかし、その後はテレビ時代劇のゲスト出演などはあったが、もうひとつ役に恵まれない時期が続く。その情況が変わったのは2005年、東海テレビ制作によるフジテレビの昼帯ドラマ『冬の輪舞』で、ヒロイン・水島しのぶ役に抜擢されてから。強烈なキャラクターと劇的な展開で話題を集めてきた東海テレビ制作の昼ドラの中でも、『真珠夫人』や『牡丹と薔薇』といった話題作を凌ぐ高視聴率を獲得し、新たな昼ドラの顔として注目を集めた。07年にはやはり東海テレビ=フジテレビの『麗わしき鬼』でもヒロイン・南崎悠子を演じている。これらの昼ドラで演じたキャラクターのインパクトが強かったためか、その後は2時間サスペンスなどでの悪女役が増え、かつての熊井作品で見られた一途でひたむきな女性としての魅力が鳴りを潜めているのは寂しい。映画ではほかに、近藤明男監督「ふみ子の海」07で演じた気丈な芸者役が印象的だった。舞台は『あかさたな』01、『細雪』03、『孤愁の岸』04、『花かんざし』05、『山村美紗サスペンス/京都花灯路・恋の輝き』10などに出演。10年5月から芸名を“遠野なぎこ”に改めた。

遠野凪子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ふみ子の海

    制作年: 2006
    市川信夫の同名小説を映画化。昭和初期、盲目の少女が出会った点字という希望の光─実話に基づくヒューマンドラマ。監督は「想い出を売る店」の近藤明男。脚本は「旅の贈りもの 0:00発」の篠原高志。出演は『上を向いて歩こう~坂本九物語』の鈴木理子、高橋惠子、藤谷美紀、他。
  • 渋谷物語

    制作年: 2004
    戦後日本の裏社会を駆け抜けた男・安藤昇の若き日の姿を描いた実録ドラマ。監督は「プレイガール」の梶間俊一。安藤昇による原作『激動』を基に、「ムルデカ17805」の石松愛弘と「半落ち」の田部俊行、梶間監督が共同で脚色。撮影を「私を抱いてそしてキスして」の池田健策が担当している。主演は「17才 旅立ちのふたり」の村上弘明。
  • 新 仁義なき戦い 謀殺

    制作年: 2003
    権力の座を巡って繰り広げられる男たちの戦いを描いた任侠アクション。監督は、本作が劇場用映画デビュー作となる橋本一。脚本は、「T.R.Y.」の成島出と「ダブルス」の我妻正義の共同。撮影を「MUSCLE HEAT」の山本英夫が担当している。出演は「竜二 Forever」の高橋克典と「T.R.Y.」の渡辺謙、「たそがれ清兵衛」の小林稔侍。第15回東京国際映画祭コンペティション部門参加作品。
    70
  • 海は見ていた

    制作年: 2002
    江戸・深川の岡場所を舞台に、遊女たちの逞しくも哀しい生き様を描く、黒澤明の遺稿を映画化した人間ドラマ。監督は「日本の黒い夏 冤罪」の熊井啓。撮影を「日本の黒い夏~」の奥原一男が担当している。主演は、「田園のユーウツ」の清水美砂と「日本の黒い夏~」の遠野凪子。日活創立90周年記念作品。
  • 日本の黒い夏 冤罪

    制作年: 2000
    1994年6月27日に起こった松本サリン事件を材に、一市民を冤罪へと陥れた警察捜査、マスコミ報道、そして市民の偏見の在り方を問う社会派実録ドラマ。監督は「愛する」の熊井啓。平石耕一による原作を基に、熊井監督自身が脚色。撮影を「生地獄」の奥原一男が担当している。主演は、「世にも奇妙な物語 映画の特別編/携帯忠臣蔵」の中井貴一と「サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS」の寺尾聰。ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・カメラ賞受賞作品。
  • お引越し

    制作年: 1993
    離婚を前提に別居に入った両親を持つ11歳の少女の揺れ動く気持ちの葛藤と成長を、周囲の人々との交流を通して描くドラマ。「東京上空いらっしゃいませ」の相米慎二の10作目の監督作。第一回椋鳩十児童文学賞を受賞したひこ・田中の同名作品を原作に、これがともに劇場映画デビューとなる奥寺佐渡子と小此木聡が共同脚色。撮影は「レイジ・イン・ハーレム」の栗田豊通が担当。ヒロインの少女・レンコは八二五三名の応募の中からオーディションにより選ばれた新人・田畑智子が演じた。相米作品にとっては初めての京都ロケで、また読売テレビが映画製作のための特別スポット枠を設けてスポンサードを呼びかけた製法方法も話題となった。キネマ旬報ベストテン第二位。