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- 吉沢悠
略歴 / Brief history
東京都杉並区の生まれ。小平市の錦城高校を卒業後、1997年に“夢カラオケオーディション”で準グランプリに輝き、芸能界入り。本名の読みを変えた“吉沢悠(ゆう)”の芸名で、翌98年のTBS『青の時代』で俳優デビューする。以後、数々のテレビドラマに出演したのち、2000年の金子修介監督「クロスファイア」で映画初出演。法で裁けない犯罪者に制裁を下していく特殊能力者をナイーヴに演じた。03年、香港映画のヒット作を函館を舞台に冨樫森監督がリメイクした「星に願いを。」では、恋心を秘めたまま事故死した青年が別人の身体を借りて甦り、自分と気づかぬ彼女に想いを伝えようとするやるせなさを丹念に演じてみせた。その後も、テレビ朝日『動物のお医者さん』03、『エースをねらえ!』04と、人気コミックのドラマ化作品で持ち味を発揮。多胡由章監督「Believer」04では、すねに傷を持つ詐欺師として世を渡る元天才超能力少年役で、やさぐれた雰囲気を醸し出し新境地を開いた。05年、塚本連平監督「着信アリ2」で、死の予告電話を受けたヒロインを全力で救おうとする恋人を演じたのち、芸能活動を休止して渡米。翌06年に本名の“吉沢悠(ひさし)”に改名して復帰すると、原爆投下から13年後の広島が舞台の佐々部清監督「夕凪の街・桜の国」07では、いつ発症するとも知れぬ原爆症の恐怖と闘う同僚のヒロインをひたむきな愛で包み込む青年を熱演。続いて、本橋圭太監督「逃亡くそたわけ・21才の夏」07では、情緒不安定なヒロインに引きずられるように精神病院を抜け出し、彼女に翻弄されながら自らの殻を打ち破っていく鬱病患者を好演し、受けの芝居にも磨きをかける。10年、珊瑚礁を再生させようとする親友の夢を献身的に応援するお人好しの青年をコミカルに演じた李闘士男監督「てぃだかんかん・海とサンゴと小さな奇跡」、理想と現実との狭間で苦悩しながら成長していく外科医に扮した成島出監督「孤高のメス」と、まったく異なる役柄で印象を残す。テレビドラマはほかに、日本テレビ『働きマン』07、TBS『山田太郎ものがたり』07、『ブラッディ・マンデイ』08・10、『GM/踊れドクター』10、『南極大陸』11、テレビ朝日『4姉妹探偵団』08、NHK『風に舞いあがるビニールシート』09など。『幕末純情伝』08など舞台でも活躍している。
吉沢悠の関連作品 / Related Work
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十一人の賊軍
制作年: 2024「日本侠客伝」や「仁義なき戦い」シリーズなどを手掛け、東映黄金期の礎を築いた脚本家・笠原和夫による幻のプロットを60年の時を経て映画化。1868年の幕末を舞台に憎き藩のために「決死隊」として砦を守る任についた罪人たちの死闘と葛藤を描く。かつて笠原和夫は「勝てば官軍、負ければ賊軍」の言葉どおり、勝敗によって善悪が決まるのが当たり前の時代に“果たして勝つことだけが正義なのか?”と一石を投じるべく物語を構想した。だが、当時の東映京都撮影所所長・岡田茂は結末が気に入らずボツとし、怒り狂った笠原は350 枚ものシナリオを破り捨ててしまった。その巨匠が手掛けたプロットを企画・プロデュースの紀伊宗之と監督・白石和彌、脚本・池上純哉たち「孤狼の血」チームが受け継ぎ、令和に新たな集団抗争劇を誕生させた。主演は「凶悪」や『全裸監督』の山田孝之と、「熱のあとに」や『新宿野戦病院』の仲野太賀。