制作年: 2005
戦死した父親が靖国神社に祀られていることを知った韓国人女性の行動を通して、日本と韓国の間にある歴史認識の溝を問うドキュメンタリー作品。ソウルに住むイ・ヒジャは、1997年、戦死した父親が靖国神社に合祀されていることを知る。何故韓国人が靖国に祀られているのか?イ・ヒジャの父は彼女が一歳の時に日本軍に徴用され、中国で戦死した。イ・ヒジャはソウル近くの「望郷の丘」という共同墓地に父の墓をたてたが、まだそこに名前は刻まれていない。「靖国に父の名前がある限り、私はこの墓に父の名前を刻めません。私の中ではまだ戦争は終っていないのです」というイ・ヒジャ。彼女は靖国神社に父の名前を返して欲しいと申し入れるが、「いったん祀った神様は取り下げられない」と却下されてしまう。合祀の取り下げを求める裁判を起こすイ・ヒジャ。そのイ・ヒジャの願いを共にかなえようとする日本人がいた。神戸の震災のときにイ・ヒジャと出会った古川だ。古川はかつての日本軍が行ったという侵略行為についての様々な疑問を抱いていた。「なぜ良いお父さんだったはずの一人一人が、そんなにひどいことができたのか?」父を奪った日本に対して「恨(ハン)」を持っていたイ・ヒジャに、真摯に歴史と向かい合おうとする古川との親交は新たな意味をもたらしていくのだった……。監督は社会派ドキュメンタリーを製作し続けて来たキム・テイル(「分断を越えた人々」)。日本側から共同監督として加藤久美子(「あなたは14歳の時何をしていたのですか?」)が参加している。